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海岸植物の分布変遷と海による地理的隔離 ―イワタイゲキのゲノム系統地理―

【本学研究者情報】

〇学術資源研究公開センター?植物園 助教 伊東拓朗
研究室ウェブサイト

【概要】

京都大学大学院理学研究科髙山浩司准教授、京都大学理学部岩田寛之学生(当時)、東北大学学術資源研究公開センター?植物園伊東拓朗助教、福島大学共生システム理工学類黒沢高秀教授らの研究グループは、海岸植物のイワタイゲキの分布形成過程をゲノムデータに基づく系統地理解析によって解明しました。

海岸に生育する陸上植物の分布形成には、過去~現在に至る気候変動と海を介した種子散布のパターンが大きく影響すると考えられます。しかし、その過程を捉えることは容易ではなく、日本列島周辺の海岸植物の分布形成過程を検証した研究はほとんどありませんでした。この研究で髙山准教授らは、日本、韓国、台湾の海岸に生育するトウタイグサ科のイワタイゲキ(Euphorbia jolkinii Boiss.)を採集し、葉緑体ゲノムと核ゲノムの塩基多型に基づく系統地理学的解析と分布適地モデルの構築を行いました。

その結果、イワタイゲキは今から約20万年前に近縁種と分岐したことが示されました。また、約2万年前の最終氷期には、現在よりも分布域を大きく南下させていたと推定されました。その後、現在の間氷期へと温度が上昇する過程で再び北上し、現在の分布域を獲得するに至りましたが、その際にも北琉球と中琉球の間にあるトカラ海峡を越えるような種子散布はほとんど起こらなかったことが示唆されました。

この研究は種子が海流によって散布される海岸植物にとっても、トカラ海峡が分布拡大を妨げる要因になり得ることを示した貴重な研究です。

本研究は、2024年5月10日に、国際誌「American Journal of Botany」のオンライン版に掲載されました。

図1:イワタイゲキ(和歌山県友ケ島)

詳細(プレスリリース本文)PDF

問い合わせ先

(研究に関すること)
東北大学学術資源研究公開センター?植物園
助教 伊東拓朗
TEL: 022-795-6765
Email: takuro.ito.c4*tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

(報道に関すること)
東北大学大学院生命科学研究科広報室
高橋さやか
TEL: 022-217-6193
Email: lifsci-pr*grp.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

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