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2008年9月26日 第38回サイエンスカフェ
2008年9月26日 第38回サイエンスカフェ
海洋生物毒の謎を探る ~フグはなぜ毒をもつのか~
講師:山下 まり 東北大学大学院農学研究科 教授
プロフィール
山下教授は、天然由来の生理活性物質の研究が専門です。特にヒトに毒作用をもつ海洋生物毒を中心に研究し、単離と化学構造の解明および分析方法の確立を行うとともに、毒の起源生物や毒作用に関する生物学的側面も追求しています。グアム、東南アジア、北米、中米、ヨーロッパなどから、多種の生物サンプルを得て、総合的な研究を目指しています。2004年には、パナマ産のヤドクカエルの毒が貝毒と類似した化学構造をもつことを明らかにし、注目を集めました。
開催情報
開催日:2008年9月26日(金)18:00~19:45
会場 : せんだいメディアテーク
概要
フグ毒は、日本人に大変馴染みの深い生物毒です。その毒はフグによって生産されるのではなく、微生物由来で食物連鎖によってフグに蓄積されることが明らかになりましたが、詳しい機構についてはまだ未解明の部分もあります。一方、フグはなぜ自らの毒によって死なないのかという耐性機構については、私共の研究でだいぶ明らかになりました。そこには、有毒生物特有の仕掛けが隠されています。今回のサイエンスカフェでは、フグ毒を中心に有毒海洋生物の化学的および生物学的おもしろさについてご紹介します。
Q&A
最近、新たに見つかってきた毒は環境変化と何か関係があるのでしょうか?
その可能性はあると思いますが、必ずしもそう言い切れません。研究上難しくてこれまで発見できず、ようやく見つかるというものもあります。
最近、新たに見つかってきた毒は環境変化と何か関係があるのでしょうか?
フグ毒は、Na+チャネルの阻害剤ですので、末期癌などの沈痛剤として、実際にアメリカの製薬メーカーでその処方が開発されました。実際に使用されているかどうかは、よく知りません。
当日の様子