2018年5月25日 第152回サイエンスカフェ
先生、それって量子の仕業ですか?~量子力学とコンピュータの出会い~
講師:大関 真之 東北大学大学院情報科学研究科 准教授
プロフィール
2008年東京工業大学大学院理工学研究科物性物理学専攻博士課程早期終了。学生時代に駿台予備学校で教壇に立ち、ローマ大学研究員、京都大学大学院情報学研究科システム科学専攻助教を経て、2016年より東北大学大学院情報科学研究科応用情報科学専攻准教授。
開催情報
開催日:2018年5月25日(金)18:00~19:45
会場 : せんだいメディアテーク
概要
みなさんの体も身の回りの物質も、みんな小さな粒でできています。小さな粒の世界では僕らの想像もつかない動きをします。その動きをうまく利用してできたのが「量子コンピュータ」、新しい時代の息吹です。触ってみませんか?
Q&A
Q. qubitを多くするためにどのようなことをしているのか気になりました。
A. 量子力学の力を使うためには、レーザーが左右のどちらを進んだかがわからないように、区別のできない状況を作ることが重要で、その意味でまったく同じ形のまったく同じ大きさのものを作る必要があり、その加工技術が非常に難しいものとなっております。
Q. 量子コンピュータ(最適化タイプの)で、いわゆる解き直し機能を含む量子コンピュータの配列を組むことは出来ますか。
A. はい。リバースアニーリングという手法が確立しており、解き直しをすることでさらに良い回答が得られます。
Q. 恋愛も量子力学は応用できますか?もしできるとしたら、どのように応用しますか?
A. 最適なペアの組み合わせを考えるとかですかね?でも結局決めるのは自分です。
Q. 経路の最適化問題(災害時)について、非常事態に対応し、経路を変更したりする機能により、極端に非難に時間がかかってしまうなどの場合も考えられますが、その場合も最適といえるのでしょうか。
A. 実は現在その都度その都度の状況で最短経路、他の人とぶつからないように避難する方法の組み合わせを考えることができることがわかりました。やり方によります。
Q. Google、インテルが目指す量子コンピューターの形は?
A. 自社のクラウドサービスへの展開、CPUにくっつけてアクセラレータ(加速器)として利用するでしょう。
Q. 日本企業がハードを制作していない(できない?)理由は何でしょうか。
A. 思い切りが足りない?上司を説得するのが面倒だからです。Just do itです。
Q. 量子コンピュータの実現性として超電導以外にどんな方法かあるか。
A. イオントラップ(レーザーで挟む)、冷却原子、量子ドット(小さい基盤を作って電子1個閉じ込める)などなど 実はいろいろな作り方があります。超伝導は正直亜流でした。
Q. 高温超電導材料で量子コンピュータのチップは作れるようになるのだろうか。
A. D-Waveは最初それを目指していたんです。だけど現状では失敗した。だから冷やして超電導の道を選んだのです。
当日の様子