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原始地球誕生時にできた超高密度マグマがマントルの底に残存-超高圧力条件での珪酸塩ガラスの高密度化機構を解明-

  東北大学大学院理学研究科の村上元彦准教授(比較固体惑星学講座)らは、四十数億年前に深いマグマの海(マグマオーシャン)に覆われていた原始地球深部において、マグマがどのように振る舞うかを明らかにするために、マグマオーシャン深部に相当する圧力 200 万気圧を超える極限的超高圧力条件において、マグマの模擬物質を用いた再現実験を行い、地下約3000km(圧力約130 万気圧)のマントルの底に相当する深さにおいてマグマが著しく高密度な構造に変化し、従来予想されていたよりもずっと「重く」なることを突き止めました。この超高密度のマグマは周囲のマントルの石よりも「重く」なることが予想され、原始地球のマグマオーシャン時代に形成された超高密度マグマは、その後四十数億年の地球の歴史において、マントルの底に重力的に安定に存在し続けたと考えられます。

 今回の実験で明らかになった、マントルの底における超高密度マグマの存在と、核ーマントル境界のすぐ上に位置する、マグマとマントルの石の密度逆転境界の存在は、長らく地球深部の謎とされていた、マントル最下部直上数十km で観測される「地震波超低速度層」と呼ばれる異常な地震波の速度低下と、その層の厚みの両方を矛盾なく説明することができる有力な新説と考えられます。マントルの底に四十数億年もの間存在し続けた超高密度マグマの存在は、地球内部の進化に非常に大きな制約を与えるとともに、珪酸塩ガラスの超高圧力条件での構造変化に関する知見は、今後、新物質合成研究分野の開拓にもつながることが期待されます。

 今回の研究成果は、イリノイ大学のJay D Bass 教授との共同研究によるもので、米国科学アカデミー紀要「Proceedings of National Academy of Sciences of the United States of America」(PNAS)のオンライン版に近日中に掲載されます。なお、この研究は、文部科学省科学 研究費補助金 若手研究(A)(研究代表者:村上元彦, 課題番号22684028)、及び挑戦的萌芽研究(研究代表者: 村上元彦, 課題番号21654075)の支援を受けました。

 

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【お問い合わせ先】

東北大学大学院理学研究科 地学専攻

担当:准教授 村上元彦 motohiko@m.tohoku.ac.jp

            (秘書 高橋陽子 ytaka@m.tohoku.ac.jp)

電話番号:022-795-5789 (村上), 022-795-6662 (高橋)

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