2011年 | プレスリリース
Varp分子の新たな機能「樹状突起形成の促進作用」を発見
国立大学法人東北大学は、メラニン合成酵素の輸送に必須の因子として知られるVarp分子に「メラノサイトの樹状突起形成を促進」する新たな作用があることを明らかにしました。これは、東北大学大学院生命科学研究科の大林典彦助教、福田光則教授らによる研究成果です。
わたしたちの肌や髪の色の源であるメラニン色素は、「メラノサイト」と呼ばれる特殊な細胞でメラニン合成酵素によって合成され、「メラノソーム」と呼ばれる細胞内の袋(小胞)に貯蔵されています。メラニン色素を貯蔵したメラノソームは細胞内を移動し、メラノサイトの「樹状突起」から隣接する肌や髪の毛を作る細胞(ケラチノサイトや毛母細胞)に受け渡されて、肌や髪が黒くなります。メラノサイトからケラチノサイトにメラノソームを効率よく受け渡す(転移)ためには、樹状突起の形成が重要と考えられてきましたが、これまでその仕組みは十分に解明されていませんでした。
今回、研究グループはマウスの培養メラノサイトを用いて、この樹状突起形成過程に「Varp(バープ)」と呼ばれるRab(ラブ)21活性化因子が関与することを突き止めました。これまでVarpはメラノサイトの細胞内でRab38と共にメラニン合成酵素の輸送に関与することが知られていましたが、VarpのRab21活性化の機能を特異的に欠損させたメラノサイトでは、樹状突起の形成が顕著に阻害されることを見いだしました。すなわち、VarpはRab21を活性化することにより、樹状突起の形成に必要な膜やタンパク質の突起端への供給に関与することがはじめて明らかになりました。
Varpは肌や髪の毛の暗色化に重要な二つのプロセス(メラニン合成酵素の輸送と樹状突起の形成)に関与することから、Varpの機能を阻害あるいは安定化するような薬剤のスクリーニングが進めば、今後、肌の美白の維持や白髪予防につながる可能性が期待できます。
本研究成果は、米国の科学雑誌『Molecular Biology of the Cell』電子版に間もなく掲載されます。
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