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生物を環境変化に強くする遺伝子群?ゲノム解析で解明、保全の新アプローチに期待?

 地球上には300万から500万種の生物が様々な環境に生息し、種によって生息できる環境の幅が異なっています。たとえば、同じネズミ仲間の生物の間でも、ハツカネズミのように熱帯から温帯の世界の広い地域に草地、田畑、河原、土手、荒れ地、砂丘や人家など多様な環境に生息している種がいるのに対し、砂漠という特定の環境にしか生息していないトビネズミなどもいます。特定の環境にしか生息できない種は、地球温暖化などの環境変化に対して大きな影響を受けるのに対し、多様な環境に生息できる種は、新しい環境や変動する環境にも耐えることが容易だと思われます。しかし、多様な環境に適応できる能力はどういうメカニズムで生まれるのかは、実はほとんど分かっていません。東北大学大学院生命科学研究科生物多様性進化分野の牧野能士助教と河田雅圭教授は、このたび、あるタイプの遺伝子の数の違いがこの能力差を決めるカギになっている可能性をショウジョウバエの研究で突き止めました。牧野助教らは、ショウジョウバエ11種のゲノム上にある「重複遺伝子」の数を比べ、それぞれの種の生息環境の多様性が大きいほど重複遺伝子数が多いことを発見しました。現在、気候変動などによる環境の急変で絶滅する生物が増えることが懸念されており、生物の保全計画の策定は世界的に急務となっています。どのような生物種が環境の変化に弱いのかを事前に知ることは保全の優先順位を考える上で重要ですが、環境変化への強さを測る指標はこれまでなく、実際は不可能でした。今回の研究結果は重複遺伝子数がこの指標に利用できる可能性を示しており、実用化できれば全く新しいアプローチで科学的に生物保全を進められることが期待できます。

 

 

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〔お問い合わせ先〕

東北大学大学院生命科学研究科

担当:助教 牧野能士

電話番号:022-795-6689

メール:tamakino*m.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

ホームページ:http://meme.biology.tohoku.ac.jp/klabo-wiki/

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