2012年 | プレスリリース
脳細胞を雌雄で違ったかたちにする遺伝子の仕組みを解明―染色体のねじを緩めると雌型脳、ぎゅっと締めると雄型脳ができる?―
ショウジョウバエの脳には雌雄で違ったかたちをしている神経細胞があります。今回、東北大学大学院の伊藤弘樹研究員ら山元大輔教授のグループは、その性差を生み出す遺伝子の仕組みを研究し、染色体をしっかりと折り畳んで遺伝情報を読み取りづらくすると雄のかたちの神経細胞がつくられ、染色体をほどいて遺伝情報を読みやすくすると雌のかたちの神経細胞がつくられることを明らかにしました。行動の性差は神経細胞の性差から生まれると考えられ、なぜ男女が違う行動をするのかという疑問にも答える成果といえます。
山元教授らは、fruitlessという遺伝子が十分に働かないと、ショウジョウバエの雄が同性愛行動をするようになることを20年近く前に見出し、この遺伝子の情報に基づいて雄でのみ合成されるFruitlessタンパク質の機能を研究してきました。今回、この雄特有のFruitlessタンパク質が染色体の約100か所に結合すること、その場所にはさらに染色体をきつく締め付ける他のタンパク質が結合して、その付近の遺伝情報を読み出されないようにすることを明らかにしました。その結果、神経細胞は雄のかたちを示します。Fruitlessタンパク質のない雌の脳では遺伝情報が読み出され、神経細胞は雌のかたちとなります。こうして、脳は雌雄で違ったものへと作り上げられるのです。
本研究成果は、米国の科学雑誌『セル』 (Cell)に近く掲載されます。
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研究代表者:
東北大学大学院生命科学研究科
教授 山元 大輔 (やまもと だいすけ)
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Eメール: daichan*m. tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)