2015年 | プレスリリース?研究成果
ミクロな磁気構造のゆっくりした変化に統一的理解 ~弾性界面のクリープ運動の統計物理、高性能磁気メモリ素子の開発に光~
国立大学法人東北大学(総長:里見進/以下、東北大学)電気通信研究所の大野英男教授(同大学省エネルギー?スピントロニクス集積化システムセンター(以下、CSIS)?センター長、国際集積エレクトロニクス研究開発センター(以下、CIES)?教授、原子分子材料科学高等研究機構?主任研究者兼任)、CSISの深見俊輔准教授(CIES?准教授兼任)らのグループは、金属性の磁石からなる細線の内部に形成されたミクロな磁気構造が外部からの駆動力によってゆっくりと変化するクリープ運動を詳細に調べ、駆動力の種類(磁場、電流)とその物理的な作用のしかたに関して統一的な理解をもたらしました。これまでの研究では半導体材料においては磁場と電流は異なるかたちで作用することが確認されていたのに対して、金属材料ではこれらは同じように作用することが報告されていました。今回の研究によって、試料がある条件を満たしたときには材料の細かな性質には依存せずに電流は磁場とは異なるかたちで磁気構造に影響を及ぼすことが分かりました。近年電流を用いて磁気構造を操作する高性能磁気メモリ素子の開発が活発に行われていますが、本研究はこのようなデバイス応用を実現するための基礎的な理解も大いに促進するものと期待されます。
本研究成果は、英国科学誌「Nature Physics(ネイチャー?フィジクス)」のオンライン版(日本時間12月15日出版)に掲載されました。
実験に用いた試料の模式図
問い合わせ先
〈研究に関すること〉
東北大学 省エネルギー?スピントロニクス集積化システムセンター
准教授 深見 俊輔
電話番号:022-217-5555
Eメール:s-fukami*csis.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)
〈報道に関すること〉
東北大学 電気通信研究所 総務係
電話番号:022-217-5420
Eメール:somu*riec.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)