2016年 | プレスリリース?研究成果
被災牛の歯から放射性ストロンチウム~歯に残された放射能汚染の記録~
東北大学歯学研究科、理学研究科、農学研究科、加齢医学研究所等からなる共同研究グループでは、福島第一原発事故の後、旧警戒区域に放たれたウシの歯を収集し、それらの歯に含まれるSr-90の量を測定し評価してきました。
本研究では、年齢の違う8頭の牛から9本の歯をそれぞれ採取し測定を行い、原発事故以降に形成された歯のSr-90濃度が、事故前と比べて高くなっていることを見出しました。このことから、歯の中のSr-90の放射能量から個体の内部被ばく線量を評価する手がかりを得られることが分かりました。原発事故により、環境中に存在する安定ストロンチウムにSr-90が加わったため、環境中のSr-90と安定ストロンチウムの比(比放射能値)は、Sr-90が降下した場所と事故からの経過時間により異なります。
本研究から、歯の中の比放射能値は、ウシの採取場所と時期、年齢、歯の形成段階により異なることが分かりました。したがって、歯の比放射能値を測定することにより、環境中の放射能汚染の時間経過、体内に取り込まれたSr-90の総量を過去にまで遡って推定し、内部被ばく線量を評価できる可能性があることが示されました。
本研究の成果は平成28年4月6日付けで、Scientific Reports 誌に掲載されました。
問い合わせ先
東北大学大学院歯学研究科環境歯学研究センター
教授、研究科長 佐々木 啓一(ささき けいいち)
名誉教授 篠田 壽(しのだ ひさし)
電話番号:022-717-8275
Eメール:shinoda-h*m.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)
東北大学大学院理学研究科化学専攻
准教授 木野 康志(きの やすし)
電話番号:022-717-8382
Eメール:y.k*m.tohoku.ac.jp (*を@に置き換えてください)
東北大学高度教養教育?学生支援機構
教授 関根 勉(せきね つとむ)
電話番号:022-795-7667
Eメール:tsekine*m.tohoku.ac.jp (*を@に置き換えてください)
東北大学加齢医学研究所 病態臓器構築研究分野
客員教授 福本 学(ふくもと まなぶ)
電話番号:022-717-8507
Eメール:manabu.fukumoto.a8*tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)