2018年 | プレスリリース?研究成果
ディープラーニングなどAI技術を活用した超高速の3次元高分解能観察技術の開発に成功
国立大学法人東北大学(総長:大野 英男/以下、東北大学)多元物質科学研究所(IMRAM)の陣内 浩司教授、樋口 剛志助教と防衛大学校の萩田 克美講師は共同で、従来の集束イオンビーム-走査型電子顕微鏡(FIB-SEM)*1による3次元ナノ計測の分解能と計測時間を、最新のディープラーニング(DL)等の人工知能(AI)技術を用いて高解像度化?高速化する計測技術の試作に成功しました。ポリマー中に分散させたシリカ粒子の3次元凝集構造の2nmの解像度での計測を実現し、さらに、非対称低解像度計測を模擬したデータに対するDL超解像処理の試験において、試作した計測手法を実証しました。本技術により、実用上の解像度を確保しつつ計測時間を短縮するハイスループット化や、高解像度化が可能となります。 今回の実例に限らず様々なソフトマテリアル*2複合材料に展開可能で、今後、DLなどのAIを用いた材料開発のひとつとして期待されます。
この研究成果は、4月12日10時(英国時間)にNature Publishing Group の電子ジャーナル Scientific Reports に掲載されました。
【用語解説】
*1 直交型集束イオンビーム?走査型電子顕微鏡(FIB-SEM): 集束イオンビーム(FIB、通常はガリウムイオンビームを用いる)により材料の表面を薄く切削し、その断面を走査型電子顕微鏡(SEM)によりナノスケールで観察するという一連の手順を繰り返すことで、材料の3次元像を観察する電子顕微鏡技術。通常、装置の制約上、FIBとSEMは50度ほどの角度で設置されることが多く、SEM像は材料の断面を斜めから撮影することになる。本研究で用いたFIB-SEMは、FIBとSEMが直行する配置となっており、(斜めから撮影する際に生じる)SEM像の歪みの問題を回避することができる。
*2 ソフトマテリアル: プラスチック、ゴム、繊維、ゲルなど、わたしたちの生活に欠かすことのできない"柔らかい"材料。
問い合わせ先
<研究に関すること>
国立大学法人東北大学 多元物質科学研究所
高分子物理化学研究分野
教授 陣内 浩司(じんない ひろし)
電話:022-217-5329
E-mail:hiroshi.jinnai.d4*tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)
<報道に関すること>
国立大学法人東北大学 多元物質科学研究所
広報情報室(担当:伊藤)
電話:022-217-5198
E-mail:press.tagen*grp.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)