2019年 | プレスリリース?研究成果
光の周波数(色)の量子もつれ発生に成功 ?光の周波数を用いた大容量量子通信技術の実現へ?
【発表のポイント】
- 特殊な加工が施された結晶にレーザー光を通すだけで光の周波数(色)の量子もつれを有する光子の直接発生技術の実現に成功した。
- 今後、多数の異なる周波数をもつ光子を利用した大容量量子通信?量子計算技術の実現が期待される。
【概要】
東北大学学際科学フロンティア研究所の金田文寛助教、電気通信研究所の枝松圭一教授、電気通信大学の清水亮介准教授らのグループは、特殊な加工を施した結晶にレーザー光を通すだけで異なる2つの光子がもつ周波数(色)の間に「量子もつれ」を発生させることに成功しました。従来の方法とは異なり、今回の成果は簡便かつ低損失な色の量子もつれ発生方法であり、さらに多色の量子もつれ光子発生へと拡張可能な技術であるため、今後光子の周波数を用いた大容量量子情報技術の実現に重要な役割を果たすことが期待されます。
本研究の成果は米国光学会論文誌Optics Express誌に1月16日に掲載され、「Editor's pick」として論文誌から高い評価を受けています。
図1:周波数の量子もつれ光子発生方法概念図。レーザー光子は非線形光学結晶内で光子のペアに分裂し得るが、2つの異なる領域で発生しうる光子の周波数と偏光の状態が互い違いになっている相関を持っており、光子のペアは量子もつれ状態となる。従来の方法で必要であった干渉計等の複雑な光学系や損失の大きい光フィルターを必要とせず、簡便に周波数の量子もつれが発生可能となった。
問い合わせ先
(研究に関して)
東北大学学際科学フロンティア研究所 助教 金田文寛
東北大学電気通信研究所 教授 枝松圭一
電話022-217-6398 E-mail kaneda*riec.tohoku.ac.jp (*を@に置き換えてください)
(報道に関して)
東北大学学際科学フロンティア研究所 URA 鈴木一行
電話022-795-4353 E-mail suzukik*fris.tohoku.ac.jp (*を@に置き換えてください)