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ゲノム情報から侵略的外来種を予測 ~生態系被害防止への応用に期待~

【発表のポイント】

  • 侵略的外来種による生態系の破壊が世界中で問題となっており、侵略種の拡散を防ぐことの重要性が高まっています。
  • 外来種が原産地外で生息域を拡大するまで、その生物が持つ侵略性の高さを把握することはこれまで困難でした。また、外来種のどのような遺伝的性質が新規環境での適応を可能としているのかは不明でした。
  • 本研究では、ヒアリなどの侵略的外来種を含む34種の動物を対象に比較ゲノム解析を行い、遺伝情報に基づいた侵略性の高さの予測に成功し、外来種が新規環境へ適応進化可能にする遺伝的基盤を提示しました。
  • この革新的なアプローチは、保全生物学の分野への応用が期待されます。

【概要】

東北大学大学院生命科学研究科の牧野能士教授と河田雅圭教授は、侵略的外来種のゲノム中に重複遺伝子(注1)が多く含まれていることを発見しました。本研究は、ゲノム中に重複遺伝子の多さが、新規環境での適応能力の高さに関与することを初めて示しました。この研究は、侵略的外来種が持つ環境適応力の高さをゲノム情報から予測可能であることを示す重要な報告であり、保全生物学分野への応用が期待されます。本研究結果は、2月27日付のMolecular Ecology誌(電子版)に掲載されます。

【用語説明】

(注1)重複遺伝子: ゲノム上で重複(コピー)が起きた遺伝子。遺伝子の重複により、2つになった遺伝子には変異が蓄積しやすくなります。変異により今までになかった新しい遺伝子機能が生み出される可能性が高まります。このように、遺伝子の重複は遺伝的な多様性や新規性を生み出すメカニズムとして注目されています。

図1. 重複遺伝子含有率、散布体サイズ、生物分類(侵略的外来種/普通種)の関係。重複遺伝子含有率と散布体サイズには強い負の相関が観察されました。侵略的外来種()は図中右上に偏って分布しており、同程度の散布体サイズの生物種の中で重複遺伝子含有率が高いことが分かりました(ただし、現在も食用として流通しているカキではそのような傾向は観察されませんでした)。

詳細(プレスリリース本文)PDF

問い合わせ先

(研究に関すること)
東北大学大学院生命科学研究科
担当 牧野 能士 (まきの たかし)
電話番号: 022-795-5585
Eメール: tamakino*tohoku.ac.jp (*を@に置き換えてください)

(報道に関すること)
東北大学大学院生命科学研究科広報室
担当 高橋 さやか (たかはし さやか)
電話番号: 022-217-6193
Eメール: lifsci-pr*grp.tohoku.ac.jp (*を@に置き換えてください)

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