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桜島火山の大規模噴火に共通の前駆過程を発見 ~マグマはごく浅部から噴出~

【発表のポイント】

  • 桜島火山において、有史に繰り返し発生した大規模噴火(1471年、1779年、1914年)の直前にマグマが充填されていた深さを解明した。
  • 軽石?火山灰として爆発的に噴出したマグマは、噴火の直前には、従来想定されていた深部(約10 km)のマグマ溜りから、それより大幅に浅い火道(桜島直下の深さ1~3 km)に移動していたことが判明した。
  • 将来発生し得る大規模噴火が同じ前駆過程を経る場合、上昇開始からごく短時間で噴火が開始する可能性がある。

【概要】

東北大学大学院理学研究科地学専攻の博士課程学生新谷直己さん、中村美千彦教授、奥村聡准教授らの研究チームは、東京大学地震研究所?京都大学防災研究所?産業技術総合研究所地質調査総合センターなどとの共同研究で、鹿児島県の桜島火山において有史に発生した三度の大規模噴火(1471年、1779年、1914年)において、爆発的噴火を引き起こしたマグマが、噴火の直前には、火山体直下の極めて浅い領域(深さ1~3 km)に蓄積されていたことを突き止めました。従来の想定では、鹿児島湾北部の姶良カルデラの下、深さ約10 km付近に存在するマグマ溜まりからマグマが上昇してくると考えられていたため、この想定よりも大幅に浅い領域からマグマが上昇してきたことになります。本研究の結果は、有史の3回の大規模噴火と同程度の噴火が、将来もう一度、同様の前駆過程を経て起こると仮定した場合、噴火に先立って浅部へのマグマの大規模な供給が起こることが予想されるとともに、浅部の火道に充填されたマグマが上昇を開始すると、ごく短時間のうちに地表に到達して噴火が開始する可能性があることを示しています。

本研究の成果は、2019年2月13日10時(英国時間)のScientific Reports誌に掲載されました。

参考図:桜島山頂の火口から桜島直下のマグマ溜まりにかけての拡大図(左図)と桜島火山のマグマ供給系(右図)。左図のうち、赤い領域がマグマで満たされている領域であり、火道とマグマ溜まりの境界は火口から深さ4 km程度と推定されている。本研究での詳細な噴出物の分析により、大規模噴火を引き起こしたマグマが火道に相当する深さ(1~3 km)に位置しており、姶良カルデラ直下の主要マグマ溜まり(深さ約10 km)や桜島直下の副次的なマグマ溜まり群(深さ4~5 km)よりも浅かったことが明らかとなった。

詳細(プレスリリース本文)PDF

問い合わせ先

<研究に関すること>
東北大学大学院理学研究科地学専攻
教授 中村 美千彦(なかむら みちひこ)
電話:022-795-7762
E-mail:michihiko.nakamura.e8*tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

<報道に関すること>
東北大学大学院理学研究科広報?アウトリーチ支援室
電話:022-795-6708
E-mail:sci-pr*mail.sci.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

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