2020年 | プレスリリース?研究成果
地球温暖化に伴う海洋密度成層の強化を検出 海洋生態系?漁業活動に与える影響の解明に期待
【発表のポイント】
- 地球温暖化の進行に伴い、世界の海洋の大部分において1960年代以降に上下方向の海水密度(注1)差(密度成層)が増大していることを発見。
- 海域によって密度成層強化の進行速度は大きく異なり、従来の見積もりよりも速く進行している可能性を指摘。
- 地球温暖化がもたらす海洋生態系?漁業活動への影響およびその将来変化の理解への貢献が期待。
【概要】
東北大学大学院理学研究科の山口凌平博士課程学生(研究当時、現在:IBS Center for Climate Physicsポスドク研究員)と須賀利雄教授は、世界の海洋の大部分において、海洋上部の密度成層(上下方向の海水密度差)が地球温暖化の進行に伴って1960年代以降に強化(増大)していることを発見しました(図1)。
海洋の密度成層が強化することで、海洋下部から、海洋生態系を支える基礎生産が行われる太陽からの光が豊富な海洋上部への栄養供給が減少するために、海洋生態系そのものが深刻な影響を受けることが懸念されます。本発見は、地球温暖化の進行に伴い、すでに起きている海洋生態系?漁業活動への影響の理解およびそれらの将来変化の予測に貢献することが期待されます。
図1 1960年代からの海洋密度成層(上層と下層との海水密度の差)の変化傾向。全海洋の8割以上の海域で密度成層は強化傾向にあり、平均すると1960年代から現在までで最大6.1%の強化に相当。
【用語解説】
(注1)海水密度
体積が同じならば、冷たい(暖かい)海水ほど重く(軽く)、塩分が高い(低い)海水ほど重い(軽い)。その尺度が海水密度で、一定の体積あたりの海水の質量として定義される。海水密度が大きいほど重い。
問い合わせ先
(研究に関すること)
東北大学大学院理学研究科地球物理学専攻
教授 須賀 利雄(すが としお)
電話:022-795-6527
E-mail:suga*tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)
(報道に関すること)
東北大学大学院理学研究科
特任助教 高橋 亮(たかはし りょう)
電話:022-795-5572、022-795-6708
E-mail:sci-pr*mail.sci.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)