2020年 | プレスリリース?研究成果
残光による生体深部温度の新規計測技術を確立 ~高度先進医療および脳機能の解明に貢献~
【発表のポイント】
- 脳内など生体深部温度を簡便かつ低侵襲で観測できる手法として、残光および輝尽発光による生体温度センシングの新手法を提案し、その要素技術を確立した。
- 本研究で提案?開発された温度計測手法を発展させることで、将来的に、体温調整法における脳蘇生の確率向上や社会復帰の改善にも寄与する。
【概要】
東北大学大学院工学研究科応用物理学専攻の大橋昌立氏(当時、大学院修士課程)と寺門信明助教、高橋儀宏准教授、藤原 巧教授らは、独立行政法人国立病院機構仙台医療センターの尾上紀子医師(循環器内科医長)と篠崎 毅医師(副院長)との共同研究により、低侵襲?位置選択的な生体深部温度センシングを可能とする、残光体(蓄光体)を用いた新しい光学計測技術の提案およびその基本原理の実証に成功しました。心肺停止時の脳保護に有効な体温調整法などの高度先進医療において、体温の計測や管理は極めて重要である一方、温度モニターはカテーテル挿入により行われることから、身体的負担が大きく、測定箇所が限定されるのが実情でした。本研究では、脳内など生体深部の温度を任意の位置かつ低侵襲で観測できる手法として、残光および輝尽発光現象による生体温度センシングを提案しました(図1)。本研究を発展させることで生体深部における時間的?空間的温度計測が可能となり、これは高度先進医療のみならず、思考?感情といった脳内における複雑な生体反応の観察や解明にも資するものと期待されます。
本研究成果は、英国オンライン科学誌「Scientific Reports」に令和2年2月10日に掲載されました。
図1. 残光性ナノ粒子および輝尽発光現象を用いた生体深部温度測定の概念図.
詳細(プレスリリース本文)※2020年2月20日に訂正版へ差替
※5頁目の【問い合わせ先】における藤原 巧 教授の電話番号を以下のとおり訂正いたしました。(2020年2月20日)
<訂正前>
電話 022-795-7084
<訂正後>
電話 022-795-7964
問い合わせ先
(研究に関して)
藤原 巧(フジワラ タクミ)
東北大学大学院工学研究科 応用物理学専攻 教授
TEL: 022-795-7964
E-mail: fujiwara*laser.apph.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)
高橋 儀宏(タカハシ ヨシヒロ)
東北大学大学院工学研究科 応用物理学専攻 准教授
TEL: 022-795- 7965
E-mail: takahashi*laser.apph.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)
(報道に関して)
東北大学工学研究科情報広報室 担当 沼澤 みどり
TEL: 022-795-5898
E-mail: eng-pr*grp.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)