2020年 | プレスリリース?研究成果
生合成経路を自在に設計して糸状菌の多様な天然化合物を創る ?合成生物学を基盤とする薬理活性天然化合物ライブラリーの創製?
【発表のポイント】
- ゲノムマイニングと麹菌異種発現を基盤とする合成生物学的手法を用いることで、糸状菌のゲノム上にコードされる様々な天然化合物の安定供給と類縁体の効率的創製を可能にする天然化合物ライブラリーの新たな構築法の開発
- 作製した天然化合物ライブラリーの薬理活性スクリーニングにより、様々な有用活性天然化合物を発見
- 遺伝子資源から活性天然化合物とその多様な構造類縁体からなる化合物ライブラリーを効率よく創製する新規手法提供
【概要】
糸状菌が生産するジテルペノイドピロン (DP) 類にはポリケタイドとテルペノイドのハイブリッド型天然化合物群があり、様々な活性化合物を含む重要な医薬資源です。わずかな構造の違により様々な薬理活性が発現するユニークな性質から、多様な構造展開が望まれる化合物群です。しかし、複雑な構造が化学合成による供給や構造展開の障害となり、薬理活性評価が十分になされていない状況でした。今回、研究グループは、合成生物学的な手法を応用し、DP類の生合成経路を麹菌内で自在に設計することで、遺伝子資源から医薬シーズ探索に有用なDP類ライブラリーの作製に成功しました。また、有用薬理活性天然化合物を発見しました。
化合物の安定供給と類縁体の効率的な創製を可能にする今回の創製法は、今後の創薬研究の発展に貢献すると期待されます。
本研究の成果は、令和2年4月14日午前 10 時 (英国標準時間) に英国科学雑誌 Nature Communications に掲載されました。
図1. ジテルペノイドピロンの構造的特徴
詳細(プレスリリース本文 ※2020年4月21日に訂正版へ差替え)
※図1の色、図2の枠線を微修正いたしました。(2020年4月21日)
問い合わせ先
(研究に関すること)
東北大学大学院薬学研究科:浅井 禎吾教授
電話:022-795-6822
E-mail:teigo.asai.c8*tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)
(東北大学に関すること)
薬学研究科事務:星野公太郎
電話:022-795-6801
E-mail:kotaro.hoshino.d2*tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)