2020年 | プレスリリース?研究成果
ギガビット級高速光無線通信を実現した深紫外LEDの高速変調メカニズムを解明 -自己組織化微小LED集合体がもたらす、高発光効率と高速変調の両立-
【発表のポイント】
- 殺菌用深紫外*発光ダイオード(LED)を用いた高速光無線通信
- 量産型LEDに見出された微小発光点による高速変調メカニズムの解明
- 太陽光や照明光に影響されにくい光無線通信へ道
【概要】
次世代の通信システムとして、LEDに代表される安価な光源に基づいた光無線通信システムが注目されています。東北大学多元物質科学研究所 小島 一信 准教授、秩父 重英 教授は、情報通信研究機構(NICT)吉田 悠来氏、白岩 雅輝氏、淡路 祥成氏、菅野 敦史氏、山本 直克氏、創光科学株式会社 長澤 陽祐氏、平野 光氏、一本松 正道氏と協力し、世界初のギガビット級ソーラーブラインド光無線通信を実現した深紫外LEDの高速変調メカニズムを解明しました。
可視光や赤外光と比べて波長の短い深紫外波長帯は、光情報通信資源として稀有な特性を持つことから、長きにわたりその活用が検討されてきました。特に、深紫外波長帯の光には、地表における太陽放射にほぼ含まれていないという特徴があります。このため深紫外波長帯は太陽光の影響を受けない、すなわち「ソーラーブラインド帯」として知られ、日中の屋外においても低雑音環境での光無線通信が期待できます。
本研究成果は、米国物理協会(AIP)の科学誌「Applied Physics Letters」誌にて、2020年7月22日にオンライン公開されました。
【参考画像1】 (a) 深紫外LEDの断面構造概略図、(b) p側電極平面像、 (c) LEDを点灯させて観察した顕微発光像。
【用語解説】
*深紫外波長帯:本稿では、波長300 nm以下かつ空気の吸収が顕著に生じない波長200 nm以上の帯域を指す。ただし、明確な定義はない。
*Gbps(ギガビーピーエス):1秒間に送信できる通信容量の単位のこと。 基本単位である1 bpsは、1秒間に1ビットのデータ量が送信できることを意味する。このため、1 Gbpsは1秒間に109ビットのデータ量が送信できることを意味する。
問い合わせ先
(研究に関すること)
東北大学多元物質科学研究所
准教授 小島 一信(こじま かずのぶ)
教 授 秩父 重英(ちちぶ しげふさ)
電話: 022-217-5363
E-mail: kkojima*tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)
(報道に関すること)
東北大学多元物質科学研究所 広報情報室
電話: 022-217-5198
E-mail: press.tagen*grp.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)