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光り方を決めるのは光る頻度か光らない頻度か?~酸化亜鉛結晶の発光効率と発光寿命の相関を明示~

【発表のポイント】

  • 酸化亜鉛結晶の発光量子効率*1と発光寿命*2の関係を実験的に明示
  • 外部からの励起頻度が高くなると、主に光らない(非輻射再結合*3)過程が減速し、発光量子効率が上昇することを発見
  • 発光効率や点欠陥濃度の測定精度向上により、様々な半導体デバイスの省エネ化に寄与

【概要】

電気エネルギーと光エネルギーとを相互に変換する発光ダイオードや半導体レーザ、太陽電池などの光電相互変換デバイスを効率化するにあたり、効率を左右するのは光る(輻射再結合*3)過程の頻度増加なのか、光らない(非輻射再結合)過程の頻度減少なのかが問題となりますが、両者を切り分けて測定することは容易ではありませんでした。東北大学多元物質科学研究所 小島 一信 准教授、秩父 重英 教授は、水熱合成法にて作製された高純度酸化亜鉛結晶の発光量子効率と発光寿命の関係を実験的に調べた結果、発光量子効率の変化は主として光らない過程(発熱過程)の頻度減少に起因していることを明らかにしました。

本研究は、電子デバイスや光デバイスの製造に用いられる半導体結晶の発光?非発光再結合過程の頻度を定量的に明らかにするものであり、半導体デバイスのさらなる省エネ化や高性能化の指針となるものです。

本研究成果は、本成果は応用物理学会と日本物理学会との協同内部組織である物理系学術誌刊行センター (PCPAP)の科学誌Applied Physics Express誌にて11月24日にオンライン公開されました。

【参考画像1】外部からの励起頻度を変化させたときの、光る(輻射再結合)過程と光らない(非輻射再結合)過程の頻度の逆数(再結合寿命)の振る舞い。

【用語解説】

*1.発光量子効率
対象となる発光材料に(本研究では励起レーザによって)入射?吸収された光子数に対する、発光に利用された光子数の割合のこと。

*2.発光寿命
外部からの刺激によって励起された結晶から、光子が放出される頻度の逆数。

*3.非輻射再結合、輻射再結合
結晶内に光励起された電子?正孔ペアが、光子を生成して(光って)消滅することを輻射再結合と呼ぶ。反対に、光子を生成せずに(光らずに)消滅することを非輻射再結合と呼ぶ。

詳細(プレスリリース本文)PDF

問い合わせ先

(研究に関すること)
東北大学多元物質科学研究所
准教授 小島 一信(こじま かずのぶ)
教 授 秩父 重英(ちちぶ しげふさ)
電話: 022-217-5363
E-mail: kkojima*tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

(報道に関すること)
東北大学多元物質科学研究所 広報情報室
電話: 022-217-5198
E-mail: press.tagen*grp.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

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