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世界最小磁気トンネル接合素子の高性能動作を実証 ~超大容量?低消費電力?高性能不揮発性メモリ開発を加速~

【発表のポイント】

  • 直径がわずか原子10個程度(2.3ナノメートル)の世界最小高性能磁気トンネル接合素子を開発
  • 車載応用可能な150℃でも高いデータ保持特性(熱安定性)を維持しながら、DRAM置き換えに必要となる10ナノ秒での高速低電圧動作を実現
  • IoTやAIの高度化を可能とする超大容量?低消費電力?高性能不揮発性メモリの開発を加速

【概要】

シリコン半導体デバイスの微細化に伴って増大する消費電力の課題を克服するために、スピントロニクス技術を利用した不揮発性メモリであるスピン移行トルク磁気抵抗メモリ(STT-MRAM)の研究開発が活発に行われています。

東北大学材料科学高等研究所の陣内佛霖助教、電気通信研究所の五十嵐純太博士後期課程学生(日本学術振興会特別研究員)、深見俊輔教授、大野英男教授(現総長)らは、STT-MRAMの主要構成要素である磁気トンネル接合(MTJ)に新しい構造を採用することで、わずか原子10個程度(2.3ナノメートル)の直径を有する世界最小磁気トンネル接合素子を作製し、車載応用に必要とされる高温でのデータ保持特性を維持しながら、DRAMなどのワーキングメモリの置き換えに必要とされる高速低電圧動作を実証しました。本研究により、超大容量?低消費電力?高性能不揮発性メモリ、およびそれを用いた超高性能低消費電力集積回路の開発が加速することが期待されます。

本研究成果は、2020年12月12-18日(米国時間)にオンラインで開催される、半導体素子に関する世界で最も影響力のある技術会議、「米国電子情報学会(IEEE)主催の国際電子デバイス会議(International Electron Devices Meeting)」で発表されます。

図1) (a)従来型形状磁気異方性MTJ素子構造(2018年開発)と、(b)本研究で提案した、静磁気結合を有する積層構造を用いた形状磁気異方性MTJ素子構造の模式図。新素子構造では、界面磁気異方性を増大することによって、薄い磁性層膜厚でも素子の高性能化を実現できる。2つの磁性層は、MgO挿入層を介して静磁気結合によって単一の磁性層のように振る舞う。 [1] K. Watanabe et al., Nature Communications 9, 663 (2018).

詳細(プレスリリース本文)PDF

問い合わせ先

<研究に関すること>
東北大学電気通信研究所
教授 深見 俊輔
電話 022-217-5555
E-mail s-fukami*riec.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

<報道に関すること>
東北大学材料科学高等研究所 広報戦略室
電話 022-217-6146
E-mail aimr-outreach*grp.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

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