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炭素繊維と樹脂から航空機の主翼性能を予測 - マルチスケール数値解析を用いたCFRP航空機主翼の設計手法を確立 -

〇流体科学研究所 助教 阿部圭晃
研究室ウェブサイト

【発表のポイント】

  • 炭素繊維強化プラスチック(Carbon Fiber Reinforced Plastic: CFRP)1の材料物性から,航空機の主翼性能を予測可能なマルチスケール数値解析技術を確立.
  • これまで未解明だった,炭素繊維種の違いが航空機主翼の性能に及ぼす影響を初めて明らかにした.
  • 主翼の設計時には,CFRPの材料破壊2と表面パネルの局所座屈3の双方を考慮した静空弾解析4に基づく設計が重要と分かった.
  • 本成果は,脱炭素社会の実現に向け,複合材料を用いた次世代航空機の性能向上に活用されることが期待される.

【概要】

炭素繊維強化プラスチック(Carbon Fiber Reinforced Plastic: CFRP)は,炭素繊維と樹脂の組み合わせによって様々な強度特性を実現出来る,軽くて強い材料です.近年,航空機の材料として広く使われつつあり,更なる軽量化が求められる次世代航空機開発に必要不可欠な材料として,今も研究開発が進められています.一方で,数マイクロメートルの世界で生じる繊維や樹脂の破壊現象が,数十メートルの長さを持つ航空機の主翼にどのような影響を及ぼすのかを予測することは難しく,実験室サイズの手軽な実験が困難な航空機開発において大きなボトルネックとなっていました.

本研究では,CFRPの破壊現象を捉えるミクロスケール解析から,航空機の飛行時に主翼が生む空気力と構造変形を精度良く捉えるマクロスケール解析まで融合したマルチスケール数値解析手法を構築し,世界で初めて,炭素繊維種の違いが主翼性能(重量?空気力)に及ぼす影響を明らかにしました.

 今回の研究成果は,米国現地時間2022年4月15日に学術専門誌「Journal of Aerospace Science and Technology」(I.F. 5.107)に掲載されました.

図1:CFRP航空機主翼設計のマルチスケール数値解析手法

【用語解説】

1 炭素繊維強化プラスチック(Carbon Fiber Reinforced Plastic: CFRP):強化材料である炭素繊維と,それを支持する母材樹脂によって構成される複合材料の一種.軽量かつ高剛性?高強度であるという特性を持つ.

2 材料破壊:材料が持つ強度によって破壊すること.複合材料では荷重の負荷方向によって異なる強度?破壊メカニズムを示す.

3 局所座屈:補強パネルの破壊形態の一つ.補強材であるスティフナ間の板が座屈する現象のこと.

4 静空弾解析:静的空力弾性解析の略で,航空機の巡航時に主翼の構造変形と空気力が釣り合った平衡状態を予測する解析を指す.

詳細(プレスリリース本文)PDF

問い合わせ先

【内容についてのお問い合わせ先】
東北大学流体科学研究所 助教 阿部 圭晃
電話 022-217-5260
E-mail : yoshiaki.abe*tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

【報道についてのお問い合わせ先】
東北大学流体科学研究所 広報戦略室
電話 022-217-5873
E-mail : ifs-koho*grp.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

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