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生体深部温度を低侵襲かつ迅速に計測できる技術を開発 ~パルス近赤外レーザー照射と残光性ジルコニアを用いたセンシングプローブ~

【本学研究者情報】

〇大学院工学研究科 教授 藤原巧
研究室ウェブサイト

【発表のポイント】

  • 生体深部温度を低侵襲かつ短時間に計測可能な手法として、パルス近赤外光照射による発光現象に基づく新規温度センシング法を確立。
  • 生体温度プローブにジルコニアを用いることで、より高感度な温度計測が実現可能であることを発見。
  • 本研究を発展させることで、QOL(クオリティ?オブ?ライフ)の向上や生命活動の理解促進に期待。

【概要】

 生体の温度計測は臨床医学にとって必須であり、深部体温の迅速かつ正確な計測手法の開発は医学?医療分野において切望されてきました。一方で、生体深部の温度モニターはカテーテル挿入により行われることから身体的負担が大きく、また計測箇所が限定されるのが実状でした。

 東北大学大学院工学研究科応用物理学専攻の藤原研究室は、独立行政法人国立病院機構仙台医療センター(以下、仙台医療センター)との共同研究により、低侵襲かつ高精度な生体深部温度センシングの要素技術の提案およびその実証に成功しました。これまでに本研究グループでは、生体深部温度を簡便かつ低侵襲で計測できる手法として、プローブに残光を発するジルコニア(ZrO2)を用いた生体温度センシングの新手法を提案しています(図1)。今回の研究では、プローブにパルス近赤外レーザーを照射することにより、温度計測時間の大幅な短縮と繰り返し計測が可能となりました。また、先行研究では未解明であったZrO2の温度センシングにおける性能評価を行い、既往の温度計測用の発光物質と比較して優れたプローブ性能を有することを明らかにしました。本研究をより発展させることで、生体深部の時間的?空間的温度計測が可能となり、高度先進医療のみならず、生命活動の理解にも資するものと期待されます。

 本研究成果は、2022年5月26日に英国オンライン学術雑誌「Scientific Reports」ならびにセラミックス分野の学術雑誌「Ceramics International」に掲載されました。

図1. 残光性ナノ粒子および発光現象(残光?輝尽発光)を用いた生体深部温度計測の概念図。

【用語解説】

※1 生体深部温度
脳や臓器などの温度であり、外の環境の影響を受けにくい。深部体温は炎症反応などにより上昇し、低体温症などの発症では下降するため、医療分野における重要なバイタルサインの一つである。

詳細(プレスリリース本文)PDF

問い合わせ先

< 研究に関して >
藤原 巧(フジワラ タクミ)
東北大学大学院工学研究科 応用物理学専攻 教授
電話 022-795-7964
E-mail: takumi.fujiwara.b1*tohoku.ac.jp
(*を@に置き換えてください)

高橋 儀宏(タカハシ ヨシヒロ)
東北大学大学院工学研究科 応用物理学専攻 准教授
電話 022-795-7965 
E-mail: yoshihiro.takahashi.a6*tohoku.ac.jp
(*を@に置き換えてください)

< 報道に関して >
東北大学大学院工学研究科情報広報室
担当 沼澤 みどり
TEL: 022-795-5898
E-mail: eng-pr*grp.tohoku.ac.jp
(*を@に置き換えてください)

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