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可視光の80%を通すほぼ透明な太陽電池を開発 ―環境調和型次世代クリーンデバイスに貢献―

【本学研究者情報】

〇大学院工学研究科 准教授 加藤俊顕
研究室ウェブサイト

【発表のポイント】

  • 透明でフレキシブルな半導体原子シートである遷移金属ダイカルコゲナイド(TMD)注1)を用いて可視光透過率注2)約80%の非常に高い透明性を持つ太陽電池を開発。
  • ナノスケールデバイスを大規模集積することで、実用デバイスを駆動できるレベル(~420 pW)の発電を実証。

【概要】

あらゆる場所に設置可能となることから、透明太陽電池は環境調和型の次世代クリーンエネルギーデバイスとして大きな注目を集めています。しかし"透明"には明確な定義が存在せず、従来の"透明太陽電池"と呼ばれているものでも、可視光透過率は60%程度以下であり、目視で存在がはっきり確認できる"半透明な太陽電池"がほとんどでした。

東北大学大学院工学研究科電子工学専攻の加藤俊顕准教授、何杏特任助教(研究当時在籍)、金子俊郎教授らのグループは、原子オーダーの厚みをもつ半導体2次元シートである遷移金属ダイカルコゲナイド(TMD)を活用することで、可視光透過率約80%の肉眼でほぼ存在が認識できないレベルの高透明太陽電池の開発に成功しました。さらに、TMD太陽電池のナノスケール基本ユニットの最適構造を見出し、これらを1cm2に集積化することにより実用デバイスを駆動できるレベルの電力(~420 pW)が発電可能であることを実証しました。この技術を活用することで、今後身の回りの様々な生活環境で微小エネルギー発電が可能となり、エネルギー問題と環境問題を同時に解決可能な革新的社会貢献が期待できます。 本研究成果は、2022年7月4日(現地時間)にネイチャーパブリッシンググループの英国科学雑誌Scientific Reports(電子版)に掲載されました。

本研究で開発した高透明な原子層太陽電池の 構造図と写真。

【用語解説】

1) 遷移金属ダイカルコゲナイド(TMD
グラフェンと類似の原子層物質。遷移金属が周期表第16族のカルコゲン原子に挟まれた構造をもつ。グラフェンは金属的伝導特性を示すが、TMDはバンドギャップを持つ半導体特性を示すことから半導体デバイス分野への応用が期待されている。

2) 可視光透過率
透過率スペクトルに人間の目が有する感度の波長依存性を掛けて算出した平均値。

詳細(プレスリリース本文)PDF

問い合わせ先

(研究に関すること)
東北大学大学院工学研究科 准教授
加藤 俊顕(カトウ トシアキ)
電話 022-795-7046
E-mail kato12*tohoku.ac.jp
(*を@に置き換えてください)

(報道担当)
東北大学大学院工学研究科 情報広報室
担当 沼澤 みどり
電話 022-795-5898
E-mail eng-pr*grp.tohoku.ac.jp
(*を@に置き換えてください)

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