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免疫細胞をつついて刺激するチタンインプラント ―インプラント周囲炎を予防する材料の開発に期待―

【本学研究者情報】

〇大学院歯学研究科 准教授 山田将博
大学院歯学研究科 教授 江草宏
研究室ウェブサイト

【発表のポイント】

  • チタン製の人工歯根を用いる歯科用インプラント治療では、細菌感染により、歯周炎と類似した骨吸収(インプラント周囲炎)が臨床的課題となっています。しかし、体内の免疫機構を制御して、インプラント周囲への細菌感染を予防する技術は、これまでありませんでした。
  • チタンインプラント表面につくった無数のナノ突起が、細菌感染に対する生体防御を司る重要な免疫細胞の一つであるマクロファージ*1を接触刺激して、その微生物を取込む機能(食作用)を活性化させることがわかりました。

【概要】

歯科用インプラント治療では、歯周炎と類似した細菌感染による骨吸収を生じることがあり、臨床的な課題とされています。これまで、体内の免疫細胞を活性化して、インプラント周囲への細菌感染を予防する技術はありませんでした。

東北大学大学院歯学研究科 分子?再生歯科補綴学分野の山田将博准教授および江草宏教授らの研究グループは、歯根表面に存在する歯周組織の一部であるセメント質の物理的性質を模倣したチタン表面を開発しました。さらには、その生体模倣チタンインプラントの表面に存在するナノ突起が、細胞接着分子の発現増加や接触刺激を加えることにより、マクロファージの食作用を活性化することを明らかにしました。本研究成果により、生体の免疫細胞を活性化することでインプラント周囲炎を予防する歯科用インプラント材料の開発が期待できます。

本研究成果は、2022年7月18日に米科学誌Scientific Reportsのオンライン版に掲載されました。

図1.チタンナノ表面のナノ突起によるマクロファージ食作用活性化機構の概要

【用語解説】

*1 マクロファージ:単球とよばれる白血球の一種を由来とする免疫細胞の一つ。体内に侵入した病原体などの異物を捕食?消化して排除するとともに、それら異物の抗原をリンパ球に提示し、抗体産生を担う獲得免疫へと繋げるなど、自然免疫における重要な役割を担う。

詳細(プレスリリース本文)PDF

問い合わせ先

(研究に関すること)
東北大学大学院歯学研究科
分子?再生歯科補綴学分野
准教授 山田 将博(やまだ まさひろ)
E-mail: masahiro.yamada.a2*tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

東北大学大学院歯学研究科
分子?再生歯科補綴学分野
教授 江草 宏(えぐさ ひろし)
E-mail: egu*tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

(報道に関すること)
東北大学大学院歯学研究科広報室
電話: 022-717-8260
E-mail: den-koho*grp.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

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