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新規ミトコンドリア病治療薬候補MA-5の神経筋疾患への展開 筋ジストロフィーおよびパーキンソン病の線虫疾患モデルで病態改善効果

press【本学研究者情報】

〇大学院生命科学研究科 教授 東谷篤志
研究室ウェブサイト

〇医学系研究科?医工学研究科 教授 阿部高明
研究室ウェブサイト

【発表のポイント】

  • 筋ジストロフィーやパーキンソン病など神経筋疾患は、筋細胞や神経細胞の病変によって運動障害を来す難病で、治療薬の開発が待たれている。
  • 線虫の疾患モデルを用いて、これら神経筋疾患に対する東北大学発ミトコンドリア治療薬候補化合物MA-5の治療効果を検討した。
  • 疾患線虫モデルにみられる病態がMA-5の投与によって改善され、MA-5がヒトの神経筋疾患の改善?緩和に有効である可能性が示唆された。

【概要】

筋ジストロフィーやパーキンソン病などの神経筋疾患は、骨格筋や心臓、中枢神経系の損傷が進行して運動障害を来す難病であり、治療薬の開発が待たれています。これらの神経筋疾患においては、ミトコンドリアの機能障害が病態の進行に深く関わることが知られています。東北大学大学院生命科学研究科の東谷篤志教授は、ミトコンドリア病治療薬候補化合物MA-5を開発している同大学院医学系研究科?医工学研究科の阿部高明教授と共同で、疾患モデル生物の1つである線虫C. elegansの筋ジストロフィー症モデルならびにパーキンソン病モデルにMA-5を投与し、その効果を調べました。その結果、両疾患モデルに対してMA-5が有効に作用すること、運動能力低下の改善、筋ミトコンドリア崩壊の抑制、ドーパミン神経損傷の緩和などの効果がみいだされ、MA-5は様々な神経筋疾患に対しても有効に作用する可能性が強く示唆されました。

本研究は、雑誌International Journal of Molecular Sciencesに2022年8月24日付けで発表されました。

阿部教授の開発したMA-5は現在、成人健常者を対象とした第1相臨床試験を進めています。本研究は、主としてAMEDムーンショット型研究開発事業の支援を受けて行われました。

【図1】MA-5の投与による線虫の筋ジストロフィー症モデルならびにパーキンソン病モデルの改善効果
上:線虫dys-1遺伝子変異体の筋細胞の核(中央の丸)とミトコンドリアをGFP緑色蛍光で可視化(写真上の緑)、同細胞をミトコンドリアCa2+センサーLAR-GECO赤色蛍光で可視化(写真下の赤)。MA-5の投与によりミトコンドリア断片化ならびにCa2+の過剰蓄積が改善する。
下:低濃度のロテノンを処理することで、線虫の頭部ドーパミン神経損傷、パーキンソン病モデルが生じる(左)。MA-5の投与により損傷が緩和される(右)。

詳細(プレスリリース本文)PDF

問い合わせ先

(研究に関すること)
東北大学大学院生命科学研究科
教授 東谷 篤志(ひがしたに あつし)
電話 022-217-5715
E-mail atsushi.higashitani.e7*tohoku.ac.jp
(*を@に置き換えてください)

(報道に関すること)
東北大学大学院生命科学研究科 広報室
担当 高橋 さやか (たかはし さやか)
電話 022-217-6193
E-mail lifsci-pr*grp.tohoku.ac.jp
(*を@に置き換えてください)

東北大学大学院医学系研究科 広報室
東北大学病院 広報室
電話 022-717-8032
E-mail press*pr.med.tohoku.ac.jp
(*を@に置き換えてください)

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