本文へ
ここから本文です

新型コロナウイルス スパイクタンパク質の弱点部位を同定 488番目のシステイン残基が新規治療標的部位となる可能性

【本学研究者情報】

〇大学院医学系研究科分子薬理学分野 教授 加藤幸成
研究室ウェブサイト

【発表のポイント】

  • 新型コロナウイルスが宿主細胞に感染するにあたり、スパイクタンパク質(Sタンパク質)注1の488番目のシステイン(C488)が必要であることを見出した。
  • Sタンパク質のC488を別のアミノ酸に変異させるとSタンパク質の活性化と分泌経路への移行が阻害されることを明らかにした。
  • 新型コロナウイルスのSタンパク質C488位は、新たなメカニズムに基づく治療薬の分子標的として期待される。

【概要】

新型コロナウイルスが細胞に感染する仕組みを理解することは、治療薬の標的や治療法を開発する上で重要です。東京理科大学薬学部感染分子標的学分野の野口耕司教授、東北大学大学院医学系研究科分子薬理学分野の加藤幸成教授、国立感染症研究所細胞化学部の深澤征義部長の研究グループは、新型コロナウイルスの感染過程に重要な役割を果たしているSタンパク質の活性化に必要なアミノ酸残基を同定しました。さらにはこのSタンパク質の488番目のシステイン残基を別のアミノ酸残基(アラニン)に変異させると、Sタンパク質の活性化と分泌経路への移行が阻害され、感染機能が失われることを明らかにしました。本研究は、新型コロナウイルスのSタンパク質の機能を失活させるための標的として、488番目のシステイン残基の分子機能を初めて明らかにした重要な報告です。本研究によって、新たなメカニズムに基づく新型コロナウイルス治療薬の開発に貢献することが期待されます。

本研究成果は、2022年12月13日International Journal of Molecular Sciences誌(電子版)に掲載されました。

図1.Sタンパク質の細胞内移行(分泌過程)とC488Aの影響のイメージ
Sタンパク質が細胞内に発現すると小胞体膜からゴルジ装置に輸送され、ゴルジ装置で成熟し、ウイルス粒子に取り込まれて細胞外に放出される(下から上方向)。C488に変異があるとこの移行が阻害される。

【用語解説】

注1.スパイクタンパク質(Sタンパク質):ウイルスが細胞内へ侵入するために必要な、ウイルス表面に存在するタンパク質。

詳細(プレスリリース本文)PDF

問い合わせ先

(研究に関すること)
東北大学大学院医学系研究科分子薬理学分野
教授 加藤 幸成 (かとう ゆきなり)
電話番号:022-717-8207
Eメール:yukinari.kato.e6*tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

(取材に関すること)
東北大学大学院医学系研究科?医学部広報室
電話番号:022-717-7891
FAX番号:022-717-8187
Eメール:pr-office*med.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

sdgs_logo

sdgs03

東北大学は持続可能な開発目標(SDGs)を支援しています

このページの先頭へ