2024年 | プレスリリース?研究成果
熱伝導率の異なるアモルファス材料の構造的要因をデータ科学で解明 ~準安定相の材料研究に新たな指針~
【本学研究者情報】
〇材料科学高等研究所 准教授 赤木和人
研究者ウェブサイト
【概要】
NIMSと東北大学からなる研究チームは、異なる熱伝導率を有するアモルファス材料の謎が原子鎖の長さの変化に起因することを、データ科学を活用して解明しました。アモルファスの構造的特徴と物性とを相関付けることができた先駆的な事例です。
同じアモルファスでありながら、熱伝導率の異なる材料を作り分けることが可能になりましたが、その特性の違いを誘起する構造要因を分析する方法はありませんでした。
今回、研究チームは、高分解能透過型電子顕微鏡像だけでは区別のつかない異なる熱伝導率のアモルファスゲルマニウム材料について、その電子顕微鏡像をトポロジカルデータ解析と主成分分析というデータ科学的手法を用いて解析し、その構造の相違を明らかにしました。その結果、低温で成膜した試料には原子鎖の短いものが多く、高温で作成した試料には原子鎖が長いものが多い事を見出しました。
原子鎖の長いリングは熱伝導に有利であることは、理論的に知られているので、Ge25よりGe300の熱伝導率が高い現象を説明できます。
当該手法を積極的に活用することで通常の構造解析手法で特定できない準安定相の材料を取り入れた熱制御材料の開発が可能になると期待されます。また、力学?電気など熱以外の物性についても同様に応用が可能になると期待されます。
本研究は 、NIMS マテリアル基盤研究センター データ駆動型無機材料グループ 徐 一斌グループリーダーと、東北大学材料科学高等研究所(WPI-AIMR)の赤木 和人 准教授からなる研究チームによって、JST CREST「未踏物質探索:研究総括 北川 宏 教授」(課題番号JPMJCR21O2)の一環として、また科研費(学術変革(A) JP22H05109及び基盤(A) JP 20H00119)の助成の下に行われました。
本研究成果は、国際学術誌「International Journal of Heat and Mass Transfer」の2023年12月6日発行号(Vol. 221)にて掲載されました。
図1.TEM画像を用いて抽出した構造的特徴。Ge25にはゲルマニウム原子鎖の短いリング(赤点)が多い、Ge300には原子鎖の長いリング(青点)が多いことがわかります。
問い合わせ先
(研究に関すること)
東北大学材料科学高等研究所(WPI-AIMR)
准教授 赤木 和人
TEL:022-217-5940
E-mail: kazuto.akagi.b5*tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)
(報道に関すること)
東北大学材料科学高等研究所(WPI-AIMR)
広報戦略室
TEL: 022-217-6146
E-mail: aimr-outreach*grp.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)
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