2024年 | プレスリリース?研究成果
火星大気でホルムアルデヒド生成 -太古の火星で生命材料分子が蓄積-
【本学研究者情報】
〇大学院理学研究科地球物理学専攻
大学院生 小山 俊吾(こやま しゅんご)
大学院理学研究科地球物理学専攻
教授 寺田 直樹(てらだ なおき)
【発表のポイント】
- 大気モデルを用いて、アミノ酸や糖などの生命材料分子の原料となるホルムアルデヒド(化学式: H2CO)が約38-36億年前の火星大気中で継続的に生成されていたことを示しました。
- 生命材料分子である糖が、太古の火星の海の中で継続的に生成されていた可能性を示唆しています。
【概要】
ホルムアルデヒドはアミノ酸や糖などの生命材料分子の原料となる重要な分子です。約38-36億年前の火星は、今の地球のように温暖で海が存在していた時代があったと考えられています。しかし、そのような環境でホルムアルデヒドがどの程度生成されるかは分かっていませんでした。
東北大学大学院理学研究科地球物理学専攻の小山俊吾 大学院生と寺田直樹教授らの研究グループ、地学専攻の古川善博准教授は、大気の光化学モデル(注1)を用いて太古の火星大気中におけるホルムアルデヒドの生成量を推定し、ホルムアルデヒドが太古の火星の温暖な時代に継続的に生成されていたことを示しました。
本研究の成果によって、リボ核酸(RNA)を構成する要素の一つであるリボース(注2)に代表される生命の材料分子である糖が、太古の火星の温暖な時代に継続的に生成されていた可能性が示唆されました(図1)。
本研究成果は、2024年2月9日に科学誌Scientific Reportsに掲載されました。
図1. 太古の温暖な火星でホルムアルデヒド(H2CO)が大気中で生成され、海の中で生命の材料分子に変換されるプロセスの概念図(?Shungo Koyama)
【用語解説】
注1. 大気の光化学モデル:
大気中の化学物質の反応と変化を計算するモデル。
注2. リボース:
リボ核酸(RNA)の構成要素で五炭糖(5つの炭素原子を持つ単糖)の一つ。
問い合わせ先
(研究に関すること)
東北大学大学院理学研究科地球物理学専攻
大学院生 小山 俊吾(こやま しゅんご)
TEL:022-795- 6537
Email:koyama.shungo.q5*dc.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)
東北大学大学院理学研究科地球物理学専攻
教授 寺田 直樹(てらだ なおき)
TEL:022-795- 6734
Email:teradan*tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)
(報道に関すること)
東北大学大学院理学研究科
広報?アウトリーチ支援室
TEL:022-795-6708
Email:sci-pr*mail.sci.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)