2024年 | プレスリリース?研究成果
医用画像診断AIに落とし穴 答えは正しくても考え方が正しいとは限らない 臨床応用に向けた課題を明確化
【本学研究者情報】
〇大学院医学系研究科医用画像工学分野
教授 本間 経康
助教 曾 昱雯
研究室ウェブサイト
【発表のポイント】
- 人工知能(AI)による医用画像診断の性能は高いとの報告が多数あります。しかし今回、その診断に至った根拠と専門医の所見との一致度は高いとは限らないことを発見しました。
- 医学的に妥当でない不適切な根拠は、思わぬ結果を招く危険があります。
- このような危険性を認識し、対策することで、より安全性の高いAIの臨床応用が期待されます。
【概要】
深層学習(注1)などの人工知能(AI)は進歩が著しく、医用画像診断への応用が進められています。しかし、AIが訓練データから何を学んだかなどの詳細はこれまで十分に解明されていませんでした。
東北大学大学院医学系研究科医用画像工学分野の曾昱雯助教らの研究グループは、深層学習が医用画像中のどこに注目して診断したのかを可視化する技術を用いて、その注目領域の医学的な妥当性を詳しく解析しました。先行研究で高性能を達成した深層学習モデルの注目領域と、医師の診断に基づく重要領域を比較した結果、深層学習モデルの高い分類性能に反して、その注目領域の30%~80%は医学的な重要領域と無関係であることがわかり、両者に大きな齟齬があることが明らかになりました。本研究はAIによる医用画像診断の医学的な妥当性に懸念があることを示しており、今後、新たな訓練法の開発など、さらなる検証と対策を進めることで、より安全性の高いAIの臨床応用が期待されます。
本研究成果は、2024年2月9日付で医学に関する画像分析の専門誌Journal of Imaging Informatics in Medicineに掲載されました。
図1.人工知能による医用画像診断の信頼性を検証するため、可視化技術でモデルの「注目領域」を抽出し、同じ画像に対して放射線診断医の画像所見に基づいて注釈した医学的な「重要領域」とどの程度一致するかを評価した。
【用語解説】
注1.深層学習:人工知能(AI)の一種であり、大量のデータを用いて多層のニューラルネットワークモデルを訓練し、自動的にデータから特徴を学習することができる。
問い合わせ先
(研究に関すること)
東北大学大学院医学系研究科医用画像工学分野
教授 本間 経康(ほんま のりやす)
助教 曾 昱雯 (ソウ イブン)
TEL: 022-717-8190
Email: web*rii.med.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)
(報道に関すること)
東北大学大学院医学系研究科?医学部広報室
TEL: 022-717-8032
Email: press*pr.med.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)
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