2024年 | 東北大学で学びたい方へ
Discover Tohoku University ?東北大学ってこんな大学?
東北大学 大学院教育学研究科 佐藤 克美先生
学生広報スタッフの小滝真悠です。
「研究室訪問*」、したことありますか?
小滝は昨年、関心のある分野の先生数名を訪ねました。
この記事が出る頃には指導教員が発表されていると思います... 緊張します...。
これから行く方も、既に指導教員や配属先が決まっている方も、少しでも東北大学の研究室の様子がわかるよう、小滝が気になった研究室をゆるっと紹介していきます!
今回は第1弾ということで、小滝が普段お世話になっている教育学研究科の佐藤克美先生のところに、広報室の口町さんとお邪魔してきました!
佐藤先生は教育情報デザイン論が専門で、ICTを用いた学習支援やVRを活用した教材の開発などを研究なさっています。この日はゼミも見学させていただきました。
取材当時は9月初旬。
セミが鳴く中、文学研究科棟(川内南)の佐藤先生の研究室にやってきました。
扉の向こうでは既にゼミが始まっている様子...。すみません、失礼します!!
この日は、卒業研究に向けて学部4年生4名が先生と進捗具合を相談し合っていました。
今は備藤 駿(びとう?しゅん)さんの研究に関してお話ししている様子。
備藤さんはアバターを介したコミュニケーションが人のコミュニケーションに与える影響について研究しているそうで、今は実験用のアバターを作っているとのこと。
しばし見学...。
ここで、この日の研究室メンバーをご紹介...
電子黒板前の佐藤先生から時計回りに、
古市 海斗(こいち?かいと)さん
備藤 駿(びとう?しゅん)さん
白瀬 歩(しろせ?あゆみ)さん
渡辺 真鈴(わたなべ?まりん)さん
ー 備藤さんの卒業論文について
備藤さん: 進捗としては、アバターを3つ作ったんですよ。男の子1人、女の子2人で。どういうアバターがいいかなって考えたとき、大学生対象の実験なので「量産型」大学生みたいな髪型と服装がいいかなって。
佐藤先生:「量産型」ってどういうもの?
備藤さん: なんとなくイメージして作ってみました。
(備藤さんが全員に画面を見せる)
古市さん: ...今の俺ですね。
渡辺さん: センター分け...。
佐藤先生:流行りにのった外見にするにしろ、そのアバターにした客観的な理由がほしいじゃない?「一般的」とか「流行りの」とか「馴染みのある」とか。女性雑誌でも何でもいいから、参考にしてみたらどう?資料をもとにするだけで説得力が増すので。
備藤さん: じゃあ帰りに『CanCam』あたりを買ってみます。
佐藤先生: え、恥ずかしげもなく堂々と?
備藤さん: もう全然買いますよ。『non-no』とか『Ray』とかもありますけど。
渡辺さん: え、わたしより詳しいやん。
(一同笑い)
備藤さん: で、それが一個進捗です。あとは、被験者とアバターとのやり取りに関してなんですけど、...
アバターは「VRoid」というソフトで簡単に作成できるみたいです!すごい...
話がひと段落したので、佐藤先生たちにいろいろと質問してみました。
ー 佐藤先生がICT教育に興味をもったきっかけは
佐藤先生:「視聴覚教育」と呼ばれていた頃からICT教育に興味があって、なぜ学校で使わないんだろうって思ったのがスタートでした。その後東北大で研究を始めて、たまたまモーションキャプチャに出会って、たまたま秋田県の「わらび座」に行って、...
備藤さん?渡辺さん: 出た(笑)
口町さん: いつも話されるのですか? ザワザワ感が...
佐藤先生:(笑)たまたま「わらび座」に行ってダンスなどのデータをとったのですが、その後地震が起きて、じゃあ郷土芸能を撮るかっていう経緯があって、現在に至ります。
ー 佐藤先生の研究の原動力は
佐藤先生: 私は、どちらかというと「研究者」というよりかは「職人」なんですよ。
備藤さん: うお~深い。
佐藤先生: なんか、「作りたい」。だから、作っているときが一番楽しいですね。
「研究者というより職人」...!
佐藤先生は現在、郷土芸能の次世代への継承を支援しようと研究を進めています。ICT教育から始まり、偶然が重なって伝統芸能に辿り着いたとのこと。
続いて、学部4年生の方々に話を聞いてみました。
ー この研究室を選んだ理由やきっかけは
備藤さん: 高校生のとき、「総合的な探究の時間」で仲のよかった友人がARやVRなどを使って授業をしたら面白いのではっていう提案をしていて、自分もVR関係に興味をもちました。東北大に入学した後、似たようなことが研究できる場所があると知って、ここを希望しました。
渡辺さん: 高校の探究学習でICT教材の存在を知って、教育格差の是正に使えるのではって考えたのがきっかけです。この研究室は、教科教育にがっつり焦点を当てるのではなく遊び心を交えたICT教材の研究をしていたので、ここ一択で決めました。
白瀬さん: 私はもともとVtuberが好きで、様々な機材が使えることに魅力を感じてここの研究室を選びました。現在は、自分でアバターを操作することでダンスに興味をもってもらえないか研究しています。
古市さん: 自分たち大学4年生の代は入学当初からしばらく実家で受講していたのですが、学校に行けなくてもパソコンを通して授業に参加できるのだなと実感する中で、ICT教育に興味をもつようになりました。
皆さんテーマは多様ですが、自身の興味に沿って卒業論文を執筆しているそうです。
ー 佐藤先生の研究室の魅力とは
渡辺さん: 自由...?
備藤さん: 本当にその通りだと思う。自分のやりたいことができる。
渡辺さん: 自由だし、束縛されない。
古市さん: プレッシャーがない。
佐藤先生: いやでも〆切はあるからね?
(一同笑い)
渡辺さん: 何をとってもね、先生が優しい!っていうところがね!「砂糖」のように優しい先生ですからね!「佐藤」だけに!
ー 研究室を運営するにあたって、佐藤先生が大事にしていることは
佐藤先生: 高校の「総合的な探究の時間」でも興味のあることを調べて発表する機会があったと思うんですけど、選べるテーマが限定的で自由度に欠けていると感じていて。学部卒業後にそのまま就職するのなら、卒業論文の執筆が好きなことを調べたりまとめたりする最後の機会なので、せっかくだったら好きなことをやって、思う存分苦しんでほしいなって思っています。
渡辺さん: 苦しんでいるな~
古市さん: きついわ~
備藤さん: 方針通りに動いてる(笑)
佐藤先生: 研究室によっては教授の先行研究に沿って指導をしていきますが、私は、そもそも自分は何が好きなのか、何がしたいのかというところから考えてもらうようにしています。もちろん研究なので、新しい視点や疑問を見つけないといけなくて、みんな結構... 漂流していますね。
紆余曲折の末、自分が本当に興味のあることに気づくのだそうです。
ー これから研究室配属される学生や、東北大を目指す受験生に一言お願いします
佐藤先生: 古市くん大丈夫だよね?
古市さん: どういうことですか
佐藤先生: ちゃんとアポイントメントとろうねとか
古市さん: いやまあその...
佐藤先生: ちゃんといろんな先生のところに話を聞きに行きましょうねとか
古市さん: いやまあ間違いないですね...。みんながやっていることは、自分もちゃんとやった方がいい...
渡辺さん: 抽象的だな
(一同笑い)
渡辺さん: 具体例を挙げると?
古市さん: 具体的に言うと、例えば、みんながゼミに出る日は、ちゃんと自分もゼミに来ようとか。他の人ができていることをあたりまえにやらないと、置いていかれたり、研究したいのに単位が足りなくて思うように時間を割けなかったりするので。研究職を目指していないのなら特別抜きんでる必要はないと思いますが、「後れを取らない」ことが一番大事だと大学4年間で学びました。
佐藤先生: 教育学部に限った話ですが、研究室を決める際にいろいろな先生の所を見て回るんですけど、「この先生しか見ない!」という一途な人も中にはいます。私は、一通り様々な研究室を見てから決めるといいかなとは思いますね。文学部も研究室訪問とかあるよね?
備藤さん: すごく早いです。1年生が終わる頃には決まっている感じだと思います。
佐藤先生: だから、いろんなところを見て、興味を絞ってしまわない方がいいかもしれません。
備藤さん:「興味を絞らない」というところと似ているんですけど、友だちってやっぱり偉大だったなって思っていて。オンライン授業が多かったということもありますが、1人で閉じこもって大学生活を送っていたら、たぶん興味の幅も広がらなかったし、やりたいこともわからず迷走していたと思います。いろんな人と会って話して、様々な分野の研究を覗いてみて―最終的に入らなかった研究室の先生の授業もとても面白かったので、いい寄り道をしたなと思っています。
白瀬さん: 私は、自分が一番大事なものをちゃんと優先できるような選択をすることが大事だと思っています。私自身、公務員志望で長期間勉強をする必要があったので、研究室訪問のときに佐藤先生に相談しました。先生としっかりすり合わせをしないと、中間発表や課題に追われて後々とても大変な思いをするかもしれません。自分の中で一番時間を使わなきゃいけないものが決まっているのでれば、融通が利くというか、上手く時間を使えるような選択をできるところに進んだり、先生と話してみたりすることが大切かもしれないです。
渡辺さん: 自分の興味のあることを見つけてから決めた方がいいと思います。結構これは大真面目な回答で、研究テーマが特に定まっていない人は、アセスメントコースがおすすめかもしれません。研究室にもよりますが、ここでは突然テーマの方向性を変えても寛容に受け入れてくれるので。
研究室選びから研究する上での心構えまで、様々なお話を聞かせていただきました。
アンテナを広く張って、全力で研究に打ち込みたいと思います。
これからの大学生活がより一層楽しみになりました。
取材に協力してくださった佐藤先生、4年生の先輩方、広報室の口町さん、本当にありがとうございました!!
【研究室訪問】
研究室配属や指導教員決定などの際に、事前に先生方と面談をしたりゼミを見学したりすること。自分の興味関心のある分野と先生方の研究テーマが合っているのか、すり合わせをする。
関連リンク
問い合わせ先
東北大学総務企画部広報室
Email:koho*grp.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)