本文へ
ここから本文です

左脳の脳卒中と右脳の脳卒中では歩行速度低下の要因が異なる -個別化されたより効果的な歩行リハビリテーションの開発に期待-

【本学研究者情報】

病院診療技術部リハビリテーション部門 主任 関口雄介
研究室ウェブサイト

【発表のポイント】

  • 脳卒中(注1後の歩行中に脚の関節で発生する力やタイミングが歩行速度に与える影響を、3次元動作解析装置(注2を用いて明らかにしました。
  • 左脳の脳卒中と右脳の脳卒中では歩行速度と関連する要因が異なっていました。
  • 左脳の脳卒中と健常者では歩行速度と関連する要因が類似していました。
  • 歩行リハビリテーションの個別化や装具、ロボット開発の促進が期待されます。

【概要】

脳卒中の患者の歩行速度は、日常生活の自立度と関連があり、リハビリテーションにとって重要な指標です。左脳の脳卒中と右脳の脳卒中では生じる機能障害が異なることが知られていますが、どちらにも共通で起こる歩行速度低下の要因の違いは明らかにされておらず、同一の要因と考えられていました。

東北大学病院診療技術部リハビリテーション部門 関口雄介主任理学療法士、同大学大学院医学系研究科 海老原覚教授、出江紳一名誉教授、本田啓太非常勤講師、同大学大学院工学研究科 大脇大准教授らの研究グループは、3次元動作解析装置を用いて脳卒中症例と健常者の大規模な歩行解析を行い、下肢の関節で発生する力や関節間で協調して生じる力のタイミングを網羅的に解析しました。その結果、左脳の脳卒中と右脳の脳卒中では、歩行速度低下の要因として、歩行時の左右の下肢の役割が異なることを明らかにしました。

本研究成果は、脳卒中後の歩行速度低下の障害理解を深めるとともに、脳卒中後の歩行リハビリテーションの個別化や装具、ロボット開発への寄与が期待されます。

本研究成果は、科学誌 Frontiers in Bioengineering and Biotechnologyにて2024年3月19日にオンライン公開されました。

図1. 歩行速度に関係する要因
左脳の脳卒中症例と健常者は歩行中に右脚で蹴り出す時期に右脚の関節間で協調して発揮する力のタイミングと左足の指先を上げる力が歩行速度と関係していました。左足の指先を上げる力は足の裏が床に着くことを調整し、歩行速度を制動します。左脳の脳卒中症例も健常者も右脚が歩行の推進の役割を果たし、左脚は歩行を制動し安定させる役割を担っていました。一方で右脳の脳卒中症例では、協調して発揮する力のタイミングと歩行速度とは関係がなく、左脚で蹴り出す時期に右足の指先を上げる力と左足で蹴る力と歩行速度が関係していました。
β : 標準偏回帰係数, **: p < 0.01, *: p < 0.05

【用語解説】

注1. 脳卒中: 脳に向かって血液が流れている動脈が破裂、詰まるなどし、血液の流れを途絶することにより脳の組織の一部が壊死し、突然症状が現れる疾患。

注2. 3次元動作解析装置:人や動物、物体の動きを計測するための高度な技術。具体的には、各関節点に反射マーカーと呼ばれる目印を取り付け、特殊なカメラで撮影を行う。

詳細(プレスリリース本文)PDF

問い合わせ先

(研究に関すること)
東北大学病院診療技術部リハビリテーション部門
主任 関口 雄介(せきぐち ゆうすけ)
TEL: 022-717-7677
Email: yusuke.sekiguchi.b2*tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

(報道に関すること)
東北大学大学院医学系研究科?医学部広報室
東北大学病院広報室
TEL:022-717-8032
FAX:022-717-8931
Email:press*pr.med.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

sdgs_logo

sdgs03

東北大学は持続可能な開発目標(SDGs)を支援しています

このページの先頭へ