2024年 | プレスリリース?研究成果
環境を汚染する化学合成殺虫剤を分解する形質転換植物 微生物の遺伝子を利用して悪名高い殺虫剤を分解する植物の作製に成功
【本学研究者情報】
〇生命科学研究科 教授 永田裕二
研究室ウェブサイト
【発表のポイント】
- 化学合成殺虫剤のガンマ-ヘキサクロロシクロヘキサン (γ-HCH) は、すでに使用が禁止されていますが、未だに悪名高い環境汚染物質です。
- 細菌由来のγ-HCH分解酵素遺伝子を導入した形質転換シロイヌナズナ植物の作製に成功しました。
- 形質転換植物はγ-HCHの毒性に対する耐性能が向上し、培地中のγ-HCHを分解しました。
【概要】
化学合成殺虫剤ガンマ-ヘキサクロロシクロヘキサン (γ-HCH) は、かつてγ-BHCあるいはリンデンとも呼ばれ、日本でも広く使用されていましたが、牛乳汚染が問題となり、1971年に使用が禁止されました。しかし、その残留汚染は地球的規模で未だに深刻であり、POPs条約(注1)の指定物質にもなっています。
東北大学大学院生命科学研究科の永田裕二教授?渡辺正夫教授らの研究グループは、細菌由来のγ-HCH分解酵素遺伝子を導入した形質転換シロイヌナズナ植物の作製に成功しました。この形質転換植物は、γ-HCHの毒性に対する耐性能が向上し、培地中のγ-HCHを吸収して分解する活性を示しました。細菌由来のγ-HCH分解酵素活性を発現する完全植物体は初めての報告であり、環境浄化への応用に一歩近付きました。
本研究成果はバイオテクノロジー分野の専門誌BMC Biotechnologyに6月19日付で掲載されました。
図1. 形質転換植物はγ-HCHの毒性に対する耐性能が向上
【用語解説】
注1.POPs条約:POPsは残留性有機汚染物質 (Persistent Organic Pollutants) の略であり、指定されたPOPsの製造?使用?移動を禁止?制限する条約。ストックホルム条約ともよばれる。
問い合わせ先
(研究に関すること)
東北大学大学院生命科学研究科
教授 永田裕二
TEL:022-217-5699
Email: aynaga*ige.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)
(報道に関すること)
東北大学大学院生命科学研究科広報室
高橋さやか
TEL: 022-217-6193
Email: lifsci-pr*grp.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)
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