2025年 | プレスリリース?研究成果
粒子の破壊現象の解明に効果的な新しい計算モデルを開発 ─セラミックス、医薬品、電子部品などの 産業分野への貢献に期待─
【本学研究者情報】
〇多元物質科学研究所 助教 久志本築
研究室ウェブサイト
【発表のポイント】
- 「交差結合型離散要素法(Cross Bond Discrete Element Method:XB-DEM)(注1)」と名付けた粒子の破壊現象を解析可能な新規計算モデルを開発し、従来の課題であった計算定数の一意な決定を実現しました。
- 圧縮試験から計算定数が決定でき、粒子の破壊挙動について実験結果と高い整合性を確認しました。粒子の破壊現象の詳細が解析可能になりました。
- セラミックス、医薬品、電子部品など幅広い産業分野で必要とされる粒子破壊の制御技術確立への貢献が期待されます。
【概要】
粒子の破壊現象は、セラミックス、医薬品、電子部品などの加工や成形において要となる現象です。粒子の破壊はその制御が重要となります。これは、粒子をただ破壊するだけでなく、狙った大きさでその破壊を止める工夫が必要なためです。しかしながら、粒子の破壊現象は、十分に解明されておらず、その制御は困難です。この背景には、実験的な解析の難しさに加え、最新の計算科学を応用した解析にも課題があります。それは、破壊現象を忠実にモデル化すると、実験的に決定困難な計算定数が現れることです。そのため、実際の粒子の破壊を模擬した計算は容易ではありません。
東北大学多元物質科学研究所の久志本築 助教らの研究グループは、粒子の破壊現象の解析が可能で、計算定数が実験から一意に決まる計算モデルを新規に構築しました。本研究成果により、粒子の破壊現象の理解の進展が期待されます。
本成果は1月13日、粉体および粒子状物質に関する分野の専門誌Advanced Powder Technologyに掲載されました。
図1. XB-DEMを用いて求めた荷重変位線図と圧縮試験結果の比較
【用語解説】
注1. XB-DEM: 交差結合型離散要素法(Cross Bond Discrete Element Method)の略称です。XB-DEMでは、一つの粒子を複数の構成要素の集合体と考え、その構成要素同士を仮想的に連結させるとともに、構成要素同士の相対的な位置関係をもとに連結を破断させることで、粒子の破壊現象を表現することができる計算モデルです。
【論文情報】
タイトル:Cross bond DEM (XB-DEM) for analyzing deformation and breakage behavior of particles
著者:Kizuku Kushimoto*, Junya Kano
Kouchi, Tomoya Oshikiri, Masaru Nakagawa, and Yuki Kimura
*責任著者:東北大学多元物質科学研究所 助教 久志本築
掲載誌:Advanced Powder Technology
DOI:10.1016/j.apt.2024.104762
問い合わせ先
(研究に関すること)
東北大学多元物質科学研究所
助教 久志本 築(くしもと きずく)
TEL:022-217-5136
Email: kizuku.kushimto.d2*tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)
(報道に関すること)
東北大学多元物質科学研究所 広報情報室
TEL: 022-217-5198
Email: press.tagen*grp.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)
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