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地球に降り込む高エネルギー電子を地磁気による磁気ミラー力が跳ね返す効果を観測的に実証

【本学研究者情報】

〇大学院理学研究科地球物理学専攻 教授 加藤雄人
研究室ウェブサイト

【概要】

田中友啓(総合研究大学院大学5年一貫制博士課程4年 兼 国立極地研究所特任研究員)、小川泰信(総合研究大学院大学教授 兼 国立極地研究所教授)、加藤雄人(東北大学大学院理学研究科教授)を中心とする研究グループは、低高度極軌道衛星や大型大気レーダーによる観測結果と数値シミュレーションを組み合わせることで、地球近傍の宇宙空間から地球に飛来する高エネルギー電子の一部が地磁気によって宇宙空間に跳ね返され、その結果、これらの電子がもたらした大気電離量が従来の想定よりも小さくなっていたことを観測により実証しました。

高エネルギー電子と大気との衝突過程の近年の精密な理論研究により、地球への入射エネルギーが高くかつ入射角度が大きい電子は、地磁気の存在によって跳ね返される割合が、従来の研究報告よりも大きいことが指摘されていました。本研究成果は、その理論的予測が実際の大気電離現象に整合的であることを観測的に明らかにしたもので、今後の高エネルギー電子による大気電離の予測精度向上に貢献することが期待されます。

図1:世界時202112160714分頃における電子密度高度分布の比較。黒はEISCATレーダーによる観測結果。赤と青はシミュレーション結果で、それぞれ磁気ミラー力を考慮した場合と考慮しなかった場合を示す。磁気ミラー力を取り入れることで高度80 kmにおける電子密度が約40%減少した。また、EISCATレーダーによる同時観測結果は、磁気ミラー力を考慮したものにより近かった。

【論文情報】

論文タイトル:Effects of geomagnetic mirror force and pitch angles of precipitating electrons on ionization of the polar upper atmosphere
掲載誌:Annales Geophysicae
掲載日:2025年10月20日
著者:田中友啓、小川泰信、加藤雄人、吹澤瑞貴、Anton Artemyev、Vassilis Angelopoulos、Xiao-Jia Zhang、田中良昌、門倉昭
DOI:10.5194/angeo-43-621-2025

詳細(プレスリリース本文)PDF

問い合わせ先

(研究に関すること)
東北大学大学院理学研究科 地球物理学専攻 
教授 加藤 雄人
Email: yuto.katoh*tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

(報道に関すること) 東北大学大学院理学研究科?理学部
広報?アウトリーチ支援室
電話:022-795-6708
Email: sci-pr*mail.sci.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

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