2026年 | プレスリリース?研究成果
ガラスはなぜゆれて、なぜこわれ始める? ―分子のゆれから降伏まで、ひとつの理論でつなぐー
【本学研究者情報】
〇大学院理学研究科地学専攻 大学院生 須田誠
研究室ウェブサイト
【発表のポイント】
- ガラスの分子の「ゆれ(分子振動)(注1)」を説明する理論モデルに、力を加えた場合のふるまいを調べました。
- その結果、同じモデルの中で、ガラスがある力の大きさで急にこわれ始める「降伏」も再現できることを示しました
- 分子レベルの「ゆれ」と「こわれ始め方」を結び付けて考える道筋を示し、ガラスの理解を深めるとともに、将来の材料設計や耐久性評価の基礎になると期待されます。
【概要】
ガラスは、建材や光学部品、電子デバイスなどに広く使われている重要な材料ですが、その性質には未解明な点が多く残されています。中でも、ガラスをつくる分子特有の「ゆれ(分子振動)」と、ガラスにかける力を強くしていくとあるところで急にこわれ始める「降伏」は、多くのガラスに共通して現れる性質として注目されています。これまで、どちらか一方なら説明できる考え方はありましたが、両方を一つの見方でまとめて説明することは難しいままでした。
東北大学大学院理学研究科の須田誠大学院生らは、これまでガラスの分子振動を説明するために使われてきた理論モデルに着目し、このモデルに力を加えると、降伏が起こることを示しました。今回の成果は、ガラスの分子レベルの「ゆれ」と、「こわれ始め方」のつながりを考える手がかりになります。ガラスという物質状態の理解を深めるだけでなく、将来的にはガラス材料の設計や耐久性評価をより効率よく進めるための基礎になると期待されます。
本成果は2025年12月18日付で学術誌Physical Review Lettersに掲載されました。
図1. 理論モデルにおける降伏のようす。
(左)加えた力と、構造の安定性の指標であるポテンシャルエネルギーの関係。点線で示された降伏する力の大きさを境に、モデルの構造は不安定化へ向かう。
(右上)繰り返し力を加えたときのサイクル毎変形量。加える力が小さいと、変形量はゼロに収束する。
(右下)加える力が大きいと降伏が起こり、ずっと変形が続く。
【用語解説】
注1. 分子振動:固体中の分子は、熱や力を受け振動する。分子振動には決まったパターンがあり、一部の分子のみが大きく振動する「局在振動」のパターンはガラス特有。
※参考動画
計算機シミュレーション内で、ガラスの分子が「局在振動」する様子:
https://staff.fnwi.uva.nl/e.lerner/test-compressor.gif
【論文情報】
タイトル:Yielding and memory in a driven mean-field model of glasses
著者:Makoto Suda, Edan Lerner, Eran Bouchbinder*
掲載誌:Physical Review Letters
DOI:10.1103/vpmn-sw7n
問い合わせ先
(研究に関すること)
東北大学大学院理学研究科地学専攻
大学院生 須田 誠(すだ まこと)
TEL:022-795-6626
Email:makoto.suda.q4*dc.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)
東北大学大学院理学研究科地学専攻
教授 長濱 裕幸(ながはま ひろゆき)
TEL:022-795-7778
Email:hiroyuki.nagahama.c7*tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)
(報道に関すること)
東北大学大学院理学研究科
広報?アウトリーチ支援室
TEL:022-795-6708
Email:sci-pr*mail.sci.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)