2026年 | プレスリリース?研究成果
絵本の読み聞かせが子どもの発達全般に好影響を与えることを解明-エコチル調査のビッグデータ解析より-
【本学研究者情報】
〇東北大学大学院医学系研究科
発達環境医学分野
教授 大田千晴
研究室ウェブサイト
【発表のポイント】
- 環境省の子どもの健康と環境に関する全国調査(エコチル調査(注1))のデータを使用し、約3万6千組の母子のデータを解析しました。
- 絵本の読み聞かせ頻度が高いほど、3歳時点での発達スコア(ASQ-3(注2))が5つの発達領域(注3)すべてにおいて高いことを明らかにしました。
- 1歳時点で発達の遅れが見られた子どもにおいても、継続的な読み聞かせを行うことで、その後の発達スコアの改善が見られました。
- 読み聞かせの頻度が高い家庭では、子どもおよび親のスクリーンタイム(スマホやテレビの試聴時間)が短い傾向を確認しました。
【概要】
これまで、読み聞かせが言語能力に良い影響を与えることは知られていましたが、運動能力や社会性を含む広範な発達領域への影響については十分に解明されていませんでした。
東北大学大学院医学系研究科小児病態学分野の大学院生中村 春彦医師、同科発達環境医学分野の大田 千晴教授らの研究グループは、環境省が実施している「子どもの健康と環境に関する全国調査(エコチル調査)」に参加する約10万人のうち、必要な情報が揃っている36,866組の母子ペアのデータを用いて、絵本の読み聞かせが幼児期の発達に与える影響を検討しました。その結果、3歳時点での発達スコアを用いた解析では、読み聞かせの頻度が高いほど、5つの発達領域すべてにおいて良好な発達と関連することを見出しました。この関連は、親の学歴や収入、子どもとの遊びの頻度、メディアへの接触時間などの影響を考慮して調整しても独立していました。また、読み聞かせの頻度が高い家庭では、子どものテレビ?DVD視聴時間や、親が子どもの近くでスマートフォンなどを操作する時間が短いことも明らかにしました。
本研究成果は、2026年1月8日に、小児科学分野の学術誌「Pediatric 雷速体育_中国足彩网¥在线直播」に掲載されました。
図1. 継続的な読み聞かせが各ASQ?3スコアと相関する
読み聞かせの頻度が高いほど、5つの発達領域(コミュニケーション、粗大運動、微細運動、問題解決、個人-社会)すべてにおいて発達スコアが高いことが判明しました。特にコミュニケーション領域では、読み聞かせを「頻繁に行う(週5回以上)」グループでは、「ほとんどない」グループと比較して、スコアが大幅に高い結果でした。
【用語解説】
注1. エコチル調査(子どもの健康と環境に関する全国調査)
胎児期から小児期にかけての化学物質曝露が子どもの健康に与える影響を明らかにするために、環境省が2010年度から開始した大規模かつ長期的な出生コホート調査です。
注2. ASQ-3(雷速体育_中国足彩网¥在线直播s and Stages Questionnaires, Third Edition)
子どもの発達の進み具合を把握するために世界的に使用されているスクリーニング検査法です。保護者が質問票に回答する形式で、5つの領域の発達を評価します。
注3. 5つの発達領域
コミュニケーション(言葉による意思疎通)、粗大運動(走る、跳ぶなどの大きな体の動き)、微細運動(手先を使う細かい動き)、問題解決(おもちゃの使い方を考えるなど)、個人-社会(対人関係や生活習慣)の5つの領域です。
【論文情報】
タイトル:Impact of Shared Storybook Reading on Child Development: The Japan Environment and Children's Study
絵本の読み聞かせが子どもの発達に与える影響:エコチル調査
著者:Haruhiko Nakamura, Tomohisa Suzuki, Keita Kanamori, Chiharu Ota*, The Japan Environment and Children's Study Group
*責任著者:東北大学大学院医学系研究科発達環境医学分野教授 大田千晴
掲載誌:Pediatric 雷速体育_中国足彩网¥在线直播
DOI:10.1038/s41390-025-04721-7
問い合わせ先
(研究に関すること)
東北大学大学院医学系研究科
発達環境医学分野
教授 大田 千晴(おおた ちはる)
TEL: 022-717-8949
Email: chiharu.ota.e8*tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)
(報道に関すること)
東北大学大学院医学系研究科?医学部広報室
東北大学病院広報室
TEL: 022-717-8032
Email: press.med*grp.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

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