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2026年 東北大学総長 年頭所感

2026年 東北大学総長 年頭所感

新年あけましておめでとうございます。
教職員、学生、そして本学を支えてくださるすべての関係者の皆様に、謹んで新年のご挨拶を申し上げます。

昨年、東北大学は、国際卓越研究大学第1号として、25年間にわたる挑戦の第一歩を踏み出しました。研究等体制強化計画の実行プランに基づき、100名を超える国際卓越研究者の採用、産学連携の進展、新たな研究?産学連携プラットフォームの創設、災害科学修士?博士課程の創設や Gate Way College 創設の発表など、この1年間で着実な成果をあげることができました。これらの進捗は、各部局で努力を重ねてきた教職員各位、そして本学に関係する皆様のご支援によるものであり、改めて感謝申し上げます。

本年の年頭にあたり、一つのエピソードを紹介させていただきます。
東北の地を経て巣立ったある大リーガーが、二十歳の折大量リードを守れず敗戦した際に自省し、「自分が低迷する四十歳の姿からタイムスリップし、二十年前に戻ってくることができたら、「今」にどう向き合うべきか」と考え一念発起したそうです。この「未来の悔恨から逆算して、今に尽力する」という覚悟が、彼を世界最高峰の舞台へと押し上げる原動力となりました。

翻って、25年後の本学はどうなっているでしょうか。

ご承知のように世界は今、大きな転換点にあります。地政学的緊張、気候変動、人口構造の変化、宇宙開発、急速なデジタル化とAIの実装など、複合的かつ不可逆的な変革の只中にあります。25年後を見通すことはおろか、5年後の社会を見通すことも難しい状況にあります。
しかしこのような時代にあって、あるいはこのような時代であるからこそ、アカデミアにおける教育?研究?社会共創の役割はより大きくなりつつあります。とりわけ我々研究大学には、知の創出?伝承にとどまらず、社会とともに未来を構想し、具体的な解決策を提示する責任がこれまで以上に求められるでしょう。

本学が「体制強化計画」において掲げる25年後の姿は、世界に伍する大学であり、Impact、Talent、Change の公約は、言葉を換えれば、世界中の研究者?学生?企業が、ともに学び、ともに価値創造を目指すために集まる大学であり、そのための変革を恐れない大学です。
ただ、このプロジェクトに選ばれたということは、現在、世界的視野でみれば東北大学は「国際卓越研究大学」ではない、ということを自覚しなければなりません。変革を恐れ、現状を維持した自然延長では、東北大学の25年後はなく、それこそ「未来に悔恨」を残します。
本年も、改めて国際卓越研究大学に選ばれた重責と期待を自覚しながら、強化計画の実行プランを遂行したいと思います。
特に本年、喫近の課題は、「AI for Science の推進」であり、戦略的かつ全学をもって取り組みたいと考えます。AIは、すでに研究の道具ではなく方法論であり、AI for Scienceの推進は、研究大学として競争力をもつための研究構造改革であり、東北大学が世界トップ水準の研究大学をめざすために必須の戦略であります。

また改めて、学内外における国際化も一層推進しなければなりません。ファブル CGO が学内の国際化に取り組んでいますが、研究、教育、運営?経営のいずれにおいても、グローバルな視野をもつマインドセットが必要です。我々は、研究第一、門戸開放、実学尊重の伝統をもとに、類のない国際卓越研究大学としての東北大学を目指しています。そのためには世界に通用する普遍的価値を備える必要があり、何事もはじめからグローバルである必要があります。

一方、この変革を支えるのは、他ならぬ教職員一人ひとりです。社会全体、あるいは多様なステークホルダーから本学に対する要請が多様化する中で、構成員の健康、また構成員個々が能力を発揮できる環境整備は、何より重要です。学内における様々な機会に対話をすすめて、ウェルビーイングの向上に努めたいと考えます。

結びに、本年が皆様一人ひとりにとって、そして東北大学にとって、実り多き一年となることを心より祈念し、新年の挨拶といたします。

2026年1月5日


東北大学総長

冨永悌二

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